集客を考えていくと”どう伝えれば良いのか?”という課題に直面します。今回お伝えするストーリーテリングは、セールスライティングとしてもファンメイキングにも使える手法です。
誰かに何かを伝える仕事をしている人は、このストーリーテリングを活用すると良いです。
SNSマーケティングでも共感を生み、ファンメイキングをすることにも活用できます。またブランディングを行う為にも、企業・個人のストーリーを語ることは効果的です。そんな様々な形で約立つストーリテリングに関して、事例も含めてご紹介します。
ストーリーテリングとは
ストーリーテリングとは、伝えたい思いや価値などを体験談やエピソードなどの“物語”を引用や活用することで伝える手法です。集客に限らず、従業員の教育や子育てでの教養教育など多岐に渡って活用されています。特に企業や商品の価値を高める為に行われるストーリー活用のストーリーブランディングもこの一種になります。

日本人は必ずこのストーリーテリングを体験しています。
ビジネス目的で有名になったストーリーテリングですが
元々は教育の為に発達したものです。
集客目的のストーリーテリング
集客目的でストーリーテリング、つまり物語やエピソードを活用しているケースは多くあります。そして逆に言えば、ストーリーテリングを様々な発信ツールで活用しないと集客が難しくなったとも言えます。
分かりやすく小規模事業者も使っている集客目的のストーリーテリングは
LP(ランディングページ)=縦長ホームページ
web集客の基盤になるホームぺージ。特に買いたい欲求を強めるのが、縦長のホームページであるランディングページです。
このランディングページでもよくストーリーテリングは使われています。
LPで使われるストーリーテリング
- お客様の声や事例など、購入者の物語
- 開発秘話
- 従業員、起業者の思い
SNS
SNSはインスタグラム・Twitter・Facebookなどのオンラインコミュニケーションツールになります。集客目的でよく使われているツールですが、こちらでもストーリーテリングは使われています。
SNSで使われるストーリーテリング
- 投稿でのエピソード投稿
- 物語を投稿シリーズとして活用(100日後に死ぬワニなど)
PV(集客目的動画)
プロモーションビデオもストーリーテリングになっている事が多いです。実際の情景や開発秘話、インタビュー動画でもよく物語を活用して制作されています。
身近にあるストーリーテリング
ストーリーテリングと言われると、ビジネスライクで堅苦しいイメージを持たれる方もいると思います。
ですが実際は2000年以上昔からありますし、こども向けに発達している部分もあります。ストーリーテリングは日本人なら、少なくとも幼稚園の時点では触れています。このパートは集客とは違いますが、別のビジネスに繋がるのでご紹介します。
昔話も教育目的のストーリーテリング
日本昔話でも出てくる様な民話などには教育目的のものがあります。こどもに「人が嫌がることをしてはいけない」と言っても、身につくまでに時間が掛かります。そこで『かちかち山』や『猿蟹合戦』など、人に悪いことをした物が懲らしめられるお話しをする訳です。直接「人が嫌がることをしてはいけない」と伝えるより自然に、「悪いことしたら猿さんみたいに仕返しがあるからやめよう」となります。



“ナマハゲに悪い子は食べられる”
クリスマス前に”良い子にしていないとサンタさんが来ない”
なども元を辿れば伝承と言うストーリーテリングです。
聖書の物語
聖書などの宗教が出している物語も、民衆に道徳観や教養を身に付けさせる為に作られた側面もあります。世界中で使われている天国・地獄の概念が分かりやすい例です。各宗教において、「良い行いをしたものは死後に幸せが待っている。悪い行いをしたものは死後に永久に続く苦痛が待っている。」と言う様な内容の伝承があります。このお陰で文明が弱かった頃に、秩序を生み出し文化を成熟させるに至っています。
マンガもストーリーテリング
日本文化とも言えるマンガも、当然ながら物語なのでストーリーテリングとも言えます。マンガを通して伝えたいメッセージを伝えている作家も多くいます。また最近では『Dr.stone』や『はたらく細胞』の様に、マンガで楽しく化学を学べるものも増えてきています。
楽しく学ぶエデュテインメント
- マンガを通して歴史や科学などを学ぶ
- ゲームを通して歴史や科学などを学ぶ
- 実技的な研修もゲーム性を持たせる



歴史も学校で習う年号と出来事だけの勉強よりも
そうなったストーリーを流れで覚えた方が記憶に残りやすく
また正しい認識で歴史を学ぶ事ができます。
伝説のスピーチ
YouTubeで何回も再生されている様な伝説のスピーチと呼ばれるものは、ストーリーテリングを活用している事がほとんどです。キング牧師の「I Have a Dream」やスティーブジョブズの「Stay hungry, stay foolish」も物語が語られて、伝えたいことを伝えています。
実話の映画、実際のものを題材にした映画
実話をベースにした映画や、実際にある企業や商品を題材にした映画もストーリーテリングと言えます。開発秘話を映画にしたものなら、商品が生まれるまでのストーリーに魅せられファンになったりします。最近は起業家が題材の実話映画なども揃ってきましたね。
ストーリーテリングの効果
スタンフォード大学経営大学院教授の研究によると、”物語を用いることで、事実のみよりも最大22倍多く記憶される”と言う研究結果が出ています。その理由も含めてストーリーテリングの効果と原理をご紹介します。
分かりやすくなる=伝達率の向上
よく僕がセミナーでミニマムなストーリーテリングを活用している理由になります。集客の専門家として、顧客心理に沿ったマーケティング理論をお伝えしています。この時に結果だけお伝えしても、完全な理解からは遠い結果になります。なのでストーリーテリングを小さく行っています。
結論だけの不十分な説明
- お申し込みフォームは最低限の項目だけにする
ストーリーテリングを活用した説明
- 自分が何か買おう思った時に、「電話番号」「年齢」「性別」「購入した理由」「何をキッカケで知ったか」など回答している内に面倒くさくなって「買うのやめた」ってなったことありませんか?
回答が面倒だってだけで、買うはずだったお客さんを逃しちゃうんです。だからお申し込みフォームは、最低限の内容だけにした方が良いんです。



着地は同じなのですが理解度が違うので
考え方の横展開も、深掘りして細かい配慮ができたりします。
共感されやすい=ファン化
自分と似た様な人のストーリーには感情移入をしやすくなっています。見込み顧客と似た題材を元にした実話などを伝えることで、感情移入させたまま価値を伝えることができます。
また似た題材でなくても、人が”応援したくなる””続きが気になる”様なストーリーは共感を生み引き寄せる力があります。
100日後に死ぬワニ
Twitterで話題になり、ニュースや映画化までもされた4コマ漫画です。『100日後に死ぬ』と言うオチが分かりながらも、それまでの様子を描いた毎日更新したものです。
主人公のワニ君がどうなるのか?気になってダンダンとファンが増えました。
記憶に残る=ブランディング
記憶に定着をさせるには、復習を繰り返す方法の他に紐付けと言うのがあります。何かを記憶する時に、他の何かと一緒に記憶した方が定着しやすくなります。その中でも強力なものが”感情”です。上記の通り共感されやすいストーリーテリングは、感情とともに情報を記憶しやすくなります。また単純に箇条書きよりも、時系列が分かる方が記憶しやすいです。
ブランディングは印象を記憶させることが大切になります。そのためストーリーブランディングと言う、ストーリーテリングを応用したブランディング手法もあります。
語りたくなる=口コミ拡散
語りたくなるのはどんな時でしょうか?①『役立つ情報だから、周りの人への貢献として伝える』②『感動したから、この気持ちを共有したい』この2つが純粋な気持ちでの口コミになります。ストーリーテリングは感情を動かします。感動したストーリーだから語りたくなる心理が働きます。



マンガやアニメも感動したら周りに言いますよね
企業の背景を伝えて、共感を生めば
紹介される時に、企業のストーリーも含めて紹介してくださる様になります。
ストーリーテリングを使う場面
前章でストーリテリングの効果はお伝えしましたが、この効果を活用することで事業では何ができるでしょうか?ストーリーテリングは集客だけではなく、マネジメントなどにも応用できるものです。
ビジネスシーンで使うなら
- 集客目的のPV(動画)、LP(ホームページ)などの販促物
- 社外・社内向けのプレゼンテーション
- 人を動かすマネジメント
難しいことを伝える
ストーリーテリングを使うと分かりやすくなります。理論を聞くだけだと想像しないといけなくなるので、想像力が乏しい人には困難になります。また想像力が強い方でも、想像するための負担がかかる分理解力が落ちます。
具体的な事例や物語を使用することで、聞き手が理解しやすくなります。
マンガ版『(有名な書籍)』
最近は書店でよく見かける様になった『マンガ版〜〜』などが良い例です。ビジネス本では、『人を動かす』『7つの習慣』『論語と算段』などがマンガ化されています。どの書籍も重厚で難しい内容になっています。
これを分かりやすく、手に取りやすくしているのが”マンガ版”になります。
感情を動かす
人間が行動する時は、『論理的な判定』と『感情的な判断』どちらか?あるいは両方が必要になります。当然両方からアプローチした方が、行動を促すことができます。『感情的な判断』を誘発する為に、感情を動かすストーリーテリングを使います。
NPOなどの募金活動
非営利団体は募金で活動しているところも多くいます。この募金を誘発する為に、動画や文章で現地の様子を伝えるストーリーテリングを活用しています。
ストーリーテリングのやり方(基本編)
ストーリーテリングも『100日後に死ぬワニ』の様な長期ストーリーテリングと、SNSの投稿や事例広告などの短期ストーリーテリングに分けれます。原則的にはどちらも同じ基本をおさえないといけませんが、長期は時間をかけて成熟させるもの・短期はすぐに分かる内容にすると認識すると良いです。
主人公を設定する
実話の場合は、伝えたいターゲットに近しい物語が良いです。創作も同じく、伝えたいターゲットに近しい設定にすると良いです。間違っても女性向け商品なのに、男性を主人公に置かない様にしましょう。



例外として、美容商品で男性から見てどうなるのか?など
メリットを本人ではなく、他社の視点で描く場合は
主人公をターゲットではなく、他社視点にするのも良いです。
何を伝えるかを決める
ただストーリーテリングをしても意味がありません。目的意識を持って、”このストーリーで何を伝えるか”を決めて発信する様にしましょう。商品自体の魅力なのか?事業者に対する魅力なのか?どんな感情を引き出すのか?何を理解してもらうのか?を決めてからストーリーを選びましょう。
お客様の声が逆効果になることも
お客様の声も広義ではストーリーテリングの一種になります。このお客様の声が、ターゲットと違う内容ですと集客に逆効果になることもあります。労働年代向けの商品なのに、高齢者のお客様の声を多く載せると「ここは高齢者が行くところなんだ」と勘違いされることになります。ストーリー採用は、目的意識を持って行いましょう。
ストーリーテリングのやり方(型)
いざストーリーテリングを使おうとしても、どんな風に作れば良いのか?分からないと思います。何事も最初は型を使用することで、簡単に安定的に始めることが大切です。なので、よく使われている構成などのストーリーテリングの型をご紹介します。
ヒーローズジャーニー
多くの神話や民謡、小説やマンガなどにも使用されている物語の定番雛形です。ストーリーテリングを語る上で外せない型とも言えますが、3つのカテゴリーに12の項目がある型になります。
第一幕:旅立ち(Departure/Separation)
1、日常世界(Ordinary World)
問題意識がまだ乏しく、どんな環境にあるのか?を伝える
2、冒険へのいざない(Call to Adventure)
問題提起され”動く必要性”を認識する
3、冒険の拒否(Refusal of the Call)
問題解決に向けて動き始める前にある葛藤を描く
4、賢者との出会い(Meeting the Mentor)
課題解決に動き始める上での指導者(物)との出会いを描く
5、戸口の通過(Crossing the First Threshold)
課題解決に向けて実際に動き始める姿を描く
第二幕:通過儀礼、移り変わり(Initiation)
6、試練、仲間、敵対者(Tests, Allies, Enemies)
実際に動き始めてぶつかる問題などを周辺人物とともに描く
7、最も危険な場所への接近(Approach to the Inmost Cave)
最大の難関やターニングポイントになることを描く
8、最大の試練(Ordeal)
最大の難関と立ち向かう中での逆境などを描く
そしてそれらの解決策や取り組む中での成長などを描く
9、報酬(Reward)
難関を攻略した結果、どんな報酬があったのかを描く
③第三幕:帰還(Return)
10、帰路(The Road Back)
ひと段落したかに見えて、後から出てくる問題などを描く
11、復活・再生(Resurrection)
最終課題に取り組む場面で、今までの積み重ねも使いながら解決する姿を描く
12、宝を持っての帰還(Return to the Elixir)
通常に戻るが物語で得たもの締めとして伝えます



12項目埋める必要はなく
①課題認識した姿②課題解決への取り組み③解決後の姿
この3つを描くだけでも、物語としてはなりたちます。
入れる部分、省く部分を選ぶと良いです
※例文として僕が事業をしているストーリーを記事にあげる予定です。少しお待ちください。
プロダクト開発
創作ではなく事実を伝えるものとして、商品開発の裏側を伝えるのも良いです。商品開発する上でどんなことがあったか?をストリーテリングで伝えることで、商品や製作者に感情移入していただきファンになる様に仕向けます。



開発秘話として僕が好きな映画に
パッドマン 5億人の女性を救った男』があります
生理用品の開発秘話ですが、起業家マインドにも通じるので
かなりおすすめしている映画です。
チャレンジ
これは長期ストーリーテリングで使われる物ですが、実際に何かチャレンジしている姿を見せます。『100日後に死ぬワニ』の影響で作られた流行りとして『100日後までに10キロ痩せる記録』のような、チャレンジに関するSNS投稿などがあります。
他にもオンラインサロンで有名な西野さんは、絵本や映画を作っている裏側を見せる手法を使っています。
メリット・事例
おそらくストリーテリングの中で最も多く使われているものになります。『お客様の声』『導入事例』もここに含めます。
これらの基本構成も『ヒーローズジャーニー』に近いのですが、①過去(課題があった頃の様子)②導入時(商品利用の様子)③導入後(商品によって課題解決された様子)の3部構成を基本とします。
SNS集客にストーリーテリングを用いる
今までストーリテリングについて深掘りしてお伝えしてきましたが、実際にSNS集客で使う場合はどうしたら良いのか?具体的なお話をしたいと思います。
自己紹介をストーリーテリングで
集客をする上で大切な要素として、『信用・信頼』があります。人として、企業として信用していただく方法として、背景や人間性を伝えることが有効です。インスタグラムの『ハイライト』で、『ストーリー』ごとにシーンを変えるストリーテリングでの自己紹介がおすすめです。
Twitterでも固定ツイートに連続ツイートの形で、ツイート毎にシーンを変えて自己紹介すると良いです。
チャレンジや裏側を見せる
長期戦略ストーリーテリングとして、何かの目標に進んでる姿をSNSで投稿すると良いです。また新サービスを開発していたり、既存サービスの改善している場合はその様子をSNSに投稿するのも手です。
最近のインフルエンサーは、これをよく使っています。(チャンネル登録者数が増えるストーリー演出など)
サービスの魅力を伝える
実際に顧客と行っているやり取りや、顧客がどう変わったのかの投稿を簡単なストーリーテリングで伝えることです。『お客様の声』の様な形ですと営業感が強いので、自然と伝わる様な口語調での投稿が良いです。
ストーリーテリングまとめ
ビジネスをする上で伝える技術と言うのはとても大切です。集客の視点で見ても、商品の魅力を伝える方法としてストーリーテリングはおすすめです。まずは簡単なSNS投稿や、事例紹介などをストーリテリング調にすることから始めてみてください。同じ伝える記事として、こちらもおすすめです。

