文責:藤田 泰仁
SEOやSNSをがんばっても問い合わせが増えないときは、集客の量を増やす前に「見つけてもらう→比べてもらう→問い合わせてもらう」の流れのどこで人が止まっているかを数字で確かめるのが先です。詰まりの場所が分かれば、打つ手は1〜2か所に絞れます。
SEOより大事なのは「どこで詰まっているか」を先に知ること
問い合わせが増えない原因は、検索順位だけとは限りません。お客様は、検索やSNSで会社を見つけ、ほかの会社と比べ、納得してから問い合わせます。この流れのどこか1か所が詰まっていると、SEOで見つけてもらえる人を増やしても、問い合わせには届きません。先に「見つける・比べる・問い合わせる」の3段階で数字と中身を点検し、いちばん人が止まっている場所を直す。そのうえで足りない部分にSEOやSNSの力を使うと、同じ手間でも成果につながりやすくなります。
合同会社well coの藤田です。事業戦略顧問として小規模事業者の支援をしていると、「SEOもSNSもやっているのに、問い合わせが増えない」というご相談をよくいただきます。最近は特に、Web周りの集客のご相談が増えています。お話を聞くと、がんばる場所と詰まっている場所がずれているケースが少なくありません。この記事では、経営者が自分で「詰まり」を見つけるための手順をまとめます。
なぜSEOをがんばっても問い合わせが増えないのか?
SEO(検索エンジン最適化)は、検索で見つけてもらうための取り組みです。Googleの検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイドでも、SEOは検索エンジンにコンテンツを理解させ、ユーザーがサイトを見つけてアクセスすべきか判断できるようにするもの、と説明されています。つまりSEOが主に受け持つのは「見つけてもらう」段階です。
同じガイドには、ランキングがトップになるような秘訣はないこと、変更が反映されるまでに数か月かかる場合もあることも書かれています。SEOは大切ですが、時間がかかり、結果も約束されない取り組みです。だからこそ、見つけてもらった後の「比べる」「問い合わせる」で人を逃していないかを先に確かめる価値があります。
問い合わせまでの流れは3つの段階に分けて考える
お客様が問い合わせるまでにたどる道筋を、導線(どうせん)と呼びます。小さな会社なら、まずは次の3段階に分けると点検しやすくなります。
| 段階 | お客様の頭の中 | 主な接点 | 詰まっているサイン |
|---|---|---|---|
| 1. 見つけてもらう | こういう会社はないかな? | 検索、Googleマップ、SNS、紹介、チラシ | サイトやプロフィールを見に来る人がそもそも少ない |
| 2. 比べてもらう | ほかと比べてどう?頼んで大丈夫? | ホームページのサービス紹介、料金、事例、口コミ、SNSの投稿 | 見に来る人はいるのに、すぐ帰ってしまう |
| 3. 問い合わせてもらう | どうやって連絡すればいい? | 問い合わせフォーム、電話、LINE、予約ページ | 問い合わせページまでは来るのに、送信されない |
ポイントは、段階ごとに「詰まっているサイン」が違うことです。サインを見れば、どこから手をつけるべきかの見当がつきます。
どこで詰まっているかを見つける手順
点検は、問い合わせに近い段階から逆にたどるのがおすすめです。出口がふさがっていると、入口を広げても成果が見えにくいからです。
1. 問い合わせの入口を自分で試す
まず、スマートフォンで自社のホームページを開き、実際に問い合わせを送ってみます。ボタンは見つけやすいか、入力項目は多すぎないか、送信後に返信の目安が書いてあるか。電話番号が押せない、フォームのエラーが分かりにくいといった小さな引っかかりは、作った本人ほど気づきにくいものです。家族や知人に試してもらうのも手軽な方法です。
2. アクセスの数字で「比べる」段階を見る
次に、Googleアナリティクス(GA4・ホームページの訪問者を分析する無料ツール)で、問い合わせの送信を「キーイベント」として記録しておきます。Googleのキーイベントについてでは、キーイベントを「ビジネスの成果にとって特に重要なアクション」を測るものと説明しています。サービス紹介ページは見られているのに、問い合わせページへ進む人が少なければ、「比べる」段階で納得してもらえていない可能性があります。
この段階でよくあるのは、料金の目安がない、誰向けのサービスか分かりにくい、頼んだ後の流れが書かれていない、といった不足です。お客様は比べて不安が残ると、問い合わせを後回しにします。
3. 検索の数字で「見つける」段階を見る
最後に、Google Search Console(グーグル サーチ コンソール・自社サイトの検索での見え方が分かる無料ツール)の検索パフォーマンス レポートを見ます。ここでは、検索結果に表示された回数(表示回数)、クリックされた回数(クリック数)、クリック率、平均掲載順位が分かります。表示回数が少なければ「見つけてもらう」段階が弱く、ここで初めてSEOの出番です。表示はされているのにクリック率が低いなら、検索結果に出るタイトルや説明文が、探している人に響いていないのかもしれません。
詰まりの場所ごとに、打つ手は変わる
- 見つけてもらう段階が弱い:SEOで検索される言葉に合ったページを作る、Googleマップの店舗情報を整える、SNSの発信を続ける
- 比べてもらう段階が弱い:誰向けか、何が強みか、料金の目安、頼んだ後の流れ、実績を、ホームページで分かりやすく見せる
- 問い合わせてもらう段階が弱い:ボタンを目立たせる、入力項目を減らす、電話やLINEなど連絡手段を選べるようにする、返信の目安を書く
同じ「問い合わせが増えない」でも、詰まりの場所が違えば必要な手は正反対になることもあります。見つけてもらえていない会社がフォームを直しても変わりませんし、比べる段階で逃している会社が記事を量産しても、出口で同じように人が離れていきます。
集客を増やさなくても成果が変わることがある
私が支援した中には、Instagram集客がうまくいかず、月商が約9万円だった事業者さんがいました。このときは投稿を増やすより先に、見つけてもらってから申し込むまでの全体の導線を整理しました。その結果、2か月後には月商90万円まで伸びています。
また、紹介業者を通さないと入居者を集められず、それでも空室が残っていた高級介護施設では、2回のアドバイスで残っていた14室すべてが埋まりました。広告宣伝費は増やしていません。どちらも業種や状況が違うので、同じ結果になるとは限りません。ただ、「集める量」より先に「流れのどこで止まっているか」を見る順番が大事だと実感した事例です。
自分で点検するときにつまずきやすいところ
詰まりを見つける作業は、経営者が自分でも始められます。ただ、実際にやってみると、つまずきやすいところもあります。
- 詰まりが複数見つかり、どれから直すべきか決められない
- 数字は見えても、その原因が商品の見せ方なのか、価格なのか、そもそもの狙うお客様なのか判断がつかない
- 本業が忙しく、直す作業を続ける時間がない
特に2つ目は、集客の問題に見えて、実は商品設計や事業の方向性に原因があることも少なくありません。集客の相談から始まり、事業全体の整理に発展することもよくあります。そういうときは、Webの部分だけでなく、事業全体を見渡して優先順位をつけることが近道になります。
まとめ
SEOより大事なのは、SEOをやめることではなく、使う順番を決めることです。まず「見つける・比べる・問い合わせる」の3段階で、問い合わせに近いほうから詰まりを探します。出口と比べる段階が整っていれば、SEOやSNSで増やした人が問い合わせまで届きやすくなります。
とはいえ、詰まりの原因を見極め、何から手をつけるかを決め、実行し続けるのは、一人では難しい部分もあります。当社の事業戦略顧問では、集客だけでなく商品設計や業務改善も含めて、経営者と一緒に優先順位を整理し、実行まで伴走しています。自社の詰まりがどこにあるのか、一度整理してみたいと感じた方は、気軽にご相談ください。
よくある質問
- SEOはやらなくてもよいのですか?
- いいえ、SEOは「見つけてもらう」段階を支える大切な取り組みです。ただ、比べる・問い合わせる段階で人が離れているなら、そちらを先に直したほうが成果につながりやすくなります。順番の問題と考えてください。
- アクセスの数字が少なく、判断できません。どうすればよいですか?
- 数字が少ないうちは、実際に問い合わせを試す、知人に見てもらう、問い合わせてくれたお客様に「何を見て、何が決め手になったか」を聞く、といった方法が役立ちます。数字と声の両方を合わせて判断しましょう。
- 詰まりはどのくらいの頻度で点検すればよいですか?
- 決まりはありませんが、ホームページやSNSの内容を変えたとき、問い合わせの数が変わったときには見直すのがおすすめです。普段は月に1回、同じ数字を見る習慣をつけると変化に気づきやすくなります。
- SNSでも同じ考え方が使えますか?
- 使えます。投稿で見つけてもらい、プロフィールや投稿で比べてもらい、リンクやDMから問い合わせてもらう、という同じ3段階で点検できます。
出典:Google 検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」/アナリティクス ヘルプ「キーイベントについて」/Search Console ヘルプ「検索パフォーマンス レポート」
