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ネイルサロン開業の資格と届出|まつげ・エステを一緒に出すときの注意点

2026.11.06

文責:藤田 泰仁

ネイルだけのサロンなら、国家資格も保健所への届出もなしで開業できます。まつげエクステを一緒に出すなら美容師免許と美容所の届出が必要になり、エステを出すなら光脱毛などの医行為と、特定商取引法の契約ルールに注意が必要です。

ネイルサロンの開業に国家資格はいらない。ただし、まつげは美容師免許が必要

ネイルサロンは、国家資格がなくても開業できます。ネイルだけの施術なら、保健所への届出もいりません。鹿児島市の「ネイルサロンを開くときに保健所に届出は必要ですか?」(2025年12月10日更新)は、ネイル施術は美容師法の「美容行為」に当たらないため、保健所に届出をする必要はないと答えています。一方、まつげエクステンションは美容行為です。横浜市の案内(2023年5月19日更新)は、美容所として届け出た店で美容師が施術する場合だけ認められるとしています。つまり、ネイルにまつげを足すと、必要な資格と届出が大きく変わります。

ネイルサロンを開くとき、「どの資格を取ればいいか」から考える方は多いはずです。ただ、実際に開業の可否を分けるのは、ネイルの資格よりも「何のメニューを出すか」です。この記事では、ネイル・まつげ・エステのメニューごとに、必要な資格と届出を公的資料で確かめながら整理します。

ネイル・まつげ・エステで、必要な資格と届出はどう違う?

違いは2点です。「国家資格がいるか」と「保健所に美容所として届け出るか」です。メニューごとにまとめると、次の表のとおりです。

メニュー国家資格保健所の届出主な注意点
ネイル(ハンド・フット)不要(民間資格は任意)ネイルだけなら不要厚生労働省の「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」を参考に衛生管理を行う
まつげエクステ・まつげパーマ美容師免許が必要美容所の開設届と、構造設備の検査確認が必要民間の講習や検定だけでは施術できない
エステ(フェイシャル・ボディ)国家資格の定めはないエステだけなら美容所の届出の対象外光線による脱毛などは医行為。1か月超・5万円超の契約は特定商取引法の対象
ネイル+まつげを同じ店でまつげの施術者は美容師免許が必要店として美容所の届出が必要ネイルの場所の扱いや区切り方は、出店先の保健所に確かめる

表の中身は、このあとの節で出典とあわせて説明します。自治体ごとに運用が違う部分もあるため、最終的には出店する地域の保健所で確かめてください。

ネイリストの資格は開業に必要?民間資格と国家資格の違い

ネイリストの資格は、開業のための必須条件ではありません。ネイルの資格はすべて民間団体の検定・認定で、取っていなくても法律上はネイルサロンを開けます。

民間資格とは、国ではなく業界団体などが独自に設けている検定や認定のことです。たとえば公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)は「ネイリスト技能検定試験」を、NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)は「JNAジェルネイル技能検定試験」や「ネイルサロン衛生管理士」の講習を行っています。一方、美容師免許は美容師法にもとづく国家資格です。名前が似ていても、「ネイリスト」の資格で美容師の仕事ができるわけではありません。

では民間資格に意味がないかというと、そうではありません。技術や衛生の知識を学んだ証として、お客様に安心してもらう材料になります。スタッフを雇うときの技術の目安にもなります。現場でよくあるのは、資格を取ること自体が目的になり、どんなお客様に来てほしいかを決めないまま開業準備が進むケースです。資格は「取るかどうか」より「店のどんな強みとして見せるか」まで考えておくと、集客の話にもつなげやすくなります。

ネイルだけのサロンは、保健所に何も届けなくていい?

ネイルだけのサロンは、保健所への届出はいりません。ただし、衛生管理の指針は国から示されているので、それに沿って店を整えるのが前提です。

  • 厚生労働省の「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」を読み、器具の消毒や設備を確かめる
  • 接着剤や溶剤のかぶれ・引火などのリスクを、お客様への説明に入れる
  • 事業を始めたら、税務署へ開業届を出す

この指針は、平成22年9月15日に厚生労働省健康局長から出されたものです。鹿児島市のQ&Aは、届出は不要としたうえで、健康被害を防ぐためにこの指針を参考に衛生管理の向上に努めるよう呼びかけています。堺市の「ネイルサロンを利用する方・営業する方へ」(2026年3月26日更新)も、営業者はこの指針にもとづいて衛生管理を行うよう案内し、指針の本文をPDFで載せています。

個人で開業する場合は、税務署への開業届も必要です。手続きの内容は国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」で確かめられます。テナントで店を構えるなら、建物の使い方によっては消防署への届出が必要になる場合もあるので、物件の契約前に管理会社や消防署に確認しておくと安心です。

まつげエクステを一緒に出すと、何が必要になる?

まつげエクステやまつげパーマを出すなら、施術する人の美容師免許と、店の美容所としての届出・検査確認の両方が必要です。どちらか一方だけでは足りません。

  • まつげを施術するスタッフが美容師免許を持っているか確かめる
  • 店を美容所として保健所に届け出て、構造設備の検査確認を受ける
  • 確認が済むまでは、まつげのメニューを始めない

福岡市の「まつ毛エクステの施術について」は、まつげエクステの施術には美容師免許が必要で、民間団体の講習や検定、認定資格だけでは施術できないと明記しています。横浜市の案内も、まつげパーマを含めて美容師法で定める美容行為だとしています。国の位置づけとしては、厚生労働省が平成20年3月7日に「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」を通知しています(広島市の案内、2025年2月16日更新)。

美容所の届出は、物件の広さや設備の基準にかかわります。工事を始めてから基準に合わないと分かると、やり直しになりかねません。保健所に行く時期や必要書類は、美容室の開業で保健所に行く時期は?工事前の相談から届出までの順番で詳しく整理しています。まつげ専門の美容所でも、流れは同じです。

ネイルとまつげを同じ部屋で施術してもいい?

ネイルとまつげを同じ店で出すこと自体はできますが、ネイルの場所をどう扱うかは保健所ごとに確かめる必要があります。たとえば福岡市の美容所開設届の様式の備考欄には、まつげエクステとネイル施術の有無、ネイルを美容師が行うか美容師以外が行うかを書く欄があります。美容所の中でネイルをする場合も、届出のときに申告する前提だと分かります。作業場の面積や区切り方の基準は自治体の条例で違うため、図面の段階で保健所に相談してください。

エステを一緒に出すときに、気をつけることは?

エステには国家資格の定めはありませんが、「やってはいけない施術」と「契約のルール」の2つに注意が必要です。どちらも、知らないまま始めると大きなトラブルにつながります。

  • 光線による脱毛など、医師でなければできない施術をメニューに入れない
  • 1か月を超え、5万円を超えるコース契約は、特定商取引法の書面とクーリング・オフに対応する
  • 化粧品や美容機器の説明で、効能を言いすぎない

医行為とは?エステで光脱毛ができない場合

医行為とは、医師が行うのでなければ保健衛生上の危害が生じるおそれのある行為のことです。厚生労働省の通知「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」は、医療用かどうかを問わず、強力なエネルギーを持つ光線を毛根に当てて毛乳頭などを破壊する行為を、医師でない人が業として行うと医師法第17条違反になるとしています(三重県の掲載ページ)。同じ通知は、針で皮膚に色素を入れる行為や、薬品で表皮をはがす行為も挙げています。脱毛機器を導入するときは、販売会社の説明だけで判断せず、通知の中身と照らして確かめてください。

特定継続的役務提供とは?エステのコース契約のルール

特定継続的役務提供とは、特定商取引法で決められた、長い期間にわたって高額なサービスを提供する契約のことです。エステの場合は、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約が対象です(消費者庁「特定商取引法ガイド」)。対象になると、契約前の概要書面と契約後の契約書面を渡す義務があり、お客様は書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができます。8日を過ぎても中途解約ができ、店が受け取れる解約料には上限があります。回数券やコースを作るときは、金額と期間がこの線を超えるかを先に確かめておきましょう。

エステで使う化粧品や商材の説明にも、薬機法などのルールがあります。仕入れの前に確かめたい点は、エステ商材を仕入れる前に確かめたい表示ルール|薬機法と説明の注意点にまとめています。

メニューを増やす前に、ネイルサロンの経営者が決めておくことは?

メニューを増やす前に決めておきたいのは、「誰が施術するか」と「どのお客様に向けたメニューか」の2つです。手続きはこの2つが決まってから考える方が、手戻りが少なくなります。

まつげを足すなら、美容師免許を持つスタッフを雇うのか、自分で免許を取るのかで、開業の時期も人件費も変わります。エステを足すなら、コースの組み方で特定商取引法への対応が変わります。現場でよくあるのは、「来店したお客様にもう1メニュー勧められたら客単価が上がる」と考えて、届出や人の手当てを後回しにするケースです。メニューの数を増やすより、今のお客様が次に何を求めているかを確かめてから足す方が、集客の打ち出し方も決めやすくなります。開業後に見る数字は、サロンのオープン集客、最初の3か月で見るべき数字と次の打ち手で整理しています。

まとめ

ネイルだけのサロンなら、国家資格も保健所への届出もなしで開業できます。ただし、厚生労働省の衛生管理の指針に沿って店を整えることが前提です。まつげエクステやまつげパーマを出すなら、施術者の美容師免許と、美容所の届出・検査確認が必要です。エステを出すなら、光線による脱毛などの医行為をしないことと、1か月超・5万円超のコース契約が特定商取引法の対象になることを押さえておきましょう。

資格と届出は、公的資料と保健所への相談で一つずつ確かめられます。悩ましいのは、そのうえで「どのメニューを、誰が、どのお客様に向けて出すか」を決め、資金や採用、集客の準備と順番をそろえることです。当社の事業戦略顧問では、事業戦略・集客・業務改善をまとめて見ながら、経営者と一緒に優先順位を整理し、実行まで伴走しています。メニューの組み立てや開業準備の順番を一度整理したいと感じたら、気軽にご相談ください。

よくある質問

ネイリストの資格がなくてもネイルサロンは開業できますか?
開業できます。ネイルの資格はすべて民間の検定・認定で、法律上の開業条件ではありません。ただし、技術や衛生の知識を示す材料として、お客様の安心につながる面はあります。
自宅でネイルサロンを開く場合も、保健所の届出はいりませんか?
ネイルだけなら、自宅でも保健所への届出はいりません。鹿児島市のQ&Aも、ネイル施術は美容行為に当たらないため届出不要としています。ただし、まつげのメニューを足すと美容所の届出が必要になります。
ネイリストがまつげエクステの講習を受ければ、施術できますか?
できません。まつげエクステには美容師免許が必要で、福岡市の案内も、民間団体の講習や検定、認定資格だけでは施術できないとしています。
エステのコースを売るとき、何に気をつければいいですか?
期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約は、特定商取引法の特定継続的役務提供に当たります。概要書面と契約書面を渡す義務があり、お客様は書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができます。

出典(2026年11月6日確認):鹿児島市「ネイルサロンを開くときに保健所に届出は必要ですか?」(2025年12月10日更新)/堺市「ネイルサロンを利用する方・営業する方へ」(2026年3月26日更新)/横浜市「まつ毛エクステンション・まつ毛パーマ等」(2023年5月19日更新)/福岡市「まつ毛エクステの施術について」/福岡市「美容所開設届」様式/広島市「まつ毛エクステンション」(2025年2月16日更新)/三重県「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」/消費者庁「特定商取引法ガイド 特定継続的役務提供」/国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」/公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター/NPO法人日本ネイリスト協会

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