文責:藤田 泰仁
整体院・整骨院の集客は、①誰に来てほしい院かを決める、②予約の受け皿を整える、③Googleマップで見つけてもらう、④比較されたときに選ばれる情報を出す、⑤再来院と紹介につなげる、の順番で進めると、手間とお金のむだが少なくなります。整骨院は法律とガイドラインで広告できる内容が限られているため、表現に迷ったら保健所に確認しながら進めましょう。
整体院・整骨院の集客は「予約の受け皿」から整えるのが近道
整体院・整骨院の集客は、広告やSNSの投稿を増やす前に、「誰に来てほしい院か」を決め、予約までの流れを整えることから始めるのが近道です。おすすめの順番は、①来てほしい人と看板メニューを決める、②電話・Web予約などの受け皿を整える、③Googleマップで見つけてもらう、④ホームページやSNSで比較されたときに選ばれる情報を出す、⑤再来院と紹介につなげる、の5段階です。受け皿が弱いまま人を集めても、予約にならずに離れてしまいます。また、整骨院は柔道整復師法と厚生労働省のガイドラインで広告できる内容が限られているため、表現のルールも最初に押さえておきましょう。
合同会社well coの藤田です。事業戦略顧問として、整骨院・整体院をはじめ、飲食店やサロンなど地域のお店の集客を支援しています。ご相談で多いのが「Instagramもチラシもやっているのに、予約が思ったほど増えない」というお悩みです。話をうかがうと、手段そのものより、取り組む順番に原因があることがよくあります。この記事では、院長が自分で進められる集客の順番を5段階で整理します。
なぜ「何から始めるか」の順番が大事なのか?
集客は、見つけてもらう→比べてもらう→予約してもらう→また来てもらう、という流れでつながっています。どこか一か所が詰まっていると、ほかをいくら頑張っても予約は増えません。たとえば、Googleマップで院を見つけてもらえても、予約方法が分かりにくければ、患者さんはそのまま別の院を探します。
実際に私が支援した事業者でも、順番を見直しただけで結果が変わったことがあります。Instagram集客がうまくいかず月商が約9万円だった事業者では、投稿を増やすのではなく、見つけてもらってから申し込むまでの導線全体を整理しました。その結果、2か月後には月商90万円まで伸びています。業種も状況も違うので同じ結果になるとは限りませんが、「足りないのは集客の量ではなく、流れのどこかの詰まりだった」というケースは珍しくありません。
| 段階 | やること | うまくいっているかの目安 |
|---|---|---|
| 1. 方針を決める | 来てほしい人と看板メニューを決める | 院の特徴を一言で説明できる |
| 2. 受け皿を整える | 予約方法・料金・アクセスを分かりやすくする | 問い合わせから予約になる割合 |
| 3. 見つけてもらう | Googleビジネスプロフィールを整える | マップからの電話・経路検索の数 |
| 4. 選んでもらう | ホームページ・SNS・クチコミで情報を出す | 新規予約の数と、どこを見て来たか |
| 5. また来てもらう | 次回予約・フォロー・紹介の流れを作る | 再来院の割合、紹介での来院数 |
段階1:誰に来てほしい院かを決める
最初にやるのは、「どんな人に来てほしい院か」を決めることです。マーケティングでは、これをターゲット設定と呼びます。「近所の人なら誰でも」という状態だと、ホームページの文章も、写真も、SNSの投稿も、誰にも刺さらないものになりがちです。
- 来てほしい人:たとえば「デスクワーク中心の会社員」「部活をしている学生」「子育て中の方」など、年代や生活の様子で考える。
- 来やすい時間帯:仕事帰りの夜、土日、平日の昼など、その人が通える時間と院の営業時間が合っているか。
- 看板メニュー:最初に案内したいメニューを1つに絞る。メニューが多すぎると、初めての人は選べない。
- 院の特徴:駐車場がある、予約制で待ち時間が少ない、など事実で言える強みを書き出す。
ここで決めた内容が、段階2以降のすべての土台になります。紙1枚に書き出せるくらいの簡単なもので構いません。
段階2:予約の受け皿を整える
次に、院を知った人がすぐ予約できる状態を作ります。集客の手段を増やすより先にここを整えるのは、せっかく集めた人を取りこぼさないためです。
- 予約方法を絞って分かりやすくする:電話、Web予約、LINEなど、使える方法と受付時間をはっきり書く。
- 施術中でも予約を受けられるようにする:院長1人の院では、施術中に電話に出られないことが多い。Web予約やLINEなど、時間を問わず受け付けられる方法を用意する。
- 初めての人が知りたい情報をそろえる:所要時間、予約の要否、駐車場、最寄り駅からの道順、休日・夜間の対応など。
- どこを見ても同じ情報にする:Googleマップ、ホームページ、SNSで営業時間や電話番号が食い違わないようにする。
あわせて、予約を受けたときに「何を見て来られましたか?」と聞き、簡単に記録しておきましょう。どの手段から予約が来ているかが分かると、段階3以降でどこに力を入れるかを判断しやすくなります。
段階3:Googleマップで近くの人に見つけてもらう
整体院・整骨院は、近くに住む人や働く人が主なお客様です。そのため、Googleマップで「近くの整骨院」などと探す人に見つけてもらう取り組み(MEO対策)は、優先度の高い手段です。中心になるのは、Googleマップに出る院の情報「Googleビジネスプロフィール」を、院長が管理できる状態にして正確に整えることです。
Googleは、公式ヘルプ「ローカル検索結果のランキングを改善するヒント」で、地域の検索結果は主に「関連性」「距離」「知名度」の3つで決まると説明しています。知名度には、クチコミの数や評価も関係するとされています。同じページには、Googleは順位を上げるための依頼や支払いを受け付けていないことも書かれています。具体的な手順は「MEO対策とは?飲食店・整骨院・サロンが自分でできる最初の手順」で詳しく紹介しています。
段階4:比較されたときに選ばれる情報を出す
患者さんは、Googleマップで見つけた院をいくつか見比べてから予約します。このとき、ホームページやSNS、クチコミで「自分に合いそうな院か」「安心して行けそうか」を確かめています。ここで大事なのは、段階1で決めた「来てほしい人」に向けて、その人が知りたい情報を出すことです。
- 院の雰囲気:外観・入口・院内・待合の写真。初めての人の不安を減らす。
- 施術者の人柄:院長やスタッフの写真、自己紹介、院を開いた理由など。
- 初回の流れ:受付から施術、会計までの流れと所要時間。
- SNSの役割を決める:Instagramなどは、院の日常や人柄を伝える場として使い、最後は予約ページへ案内する。
クチコミを増やしたいときは、会計時の一言やQRコードで感想をお願いするのが基本です。ただし、消費者庁によると、2023年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となりました。事業者が第三者に依頼・指示した投稿も、広告であることを隠していれば対象になります。「クチコミを書いてくれたら次回割引」のような頼み方は避けましょう。SNSの投稿が予約につながらないときの見直し方は「インスタ集客が売上につながらないのはなぜ?投稿より先に見直す予約導線」も参考にしてください。
段階5:再来院と紹介で予約を埋めていく
予約が安定して埋まっている院は、新規の患者さんだけに頼っていません。一度来た人に「また来たい」と思ってもらい、次の予約や紹介につなげる流れがあります。新規集客には広告や時間がかかりますが、すでに来てくれた人とのつながりは、院の努力で育てられます。
- 次回の予約をその場で案内する:帰り際に次の来院の目安を伝え、希望があれば予約を取る。
- 来院後のフォロー:LINEなどで、予約の空き状況や休診日のお知らせを届ける。送りすぎには注意する。
- しばらく来ていない人への連絡:最後の来院から間が空いた人に、近況をうかがうお知らせを送る。
- 紹介しやすくする:ご家族やご友人に渡せる院の案内カードを用意する。
広告費を増やす前に、今ある接点を見直す価値は大きいと考えています。業種は違いますが、私が支援した高級介護施設では、紹介業者に頼っても入居者が足りない状態から、2回のアドバイスで残っていた14室がすべて埋まりました。このとき広告宣伝費は増やしていません。新しく集めることより、今ある流れを整えることで結果が出る場面は少なくありません。
整骨院と整体院で、広告のルールはどう違うのか?
集客の文章を書く前に、必ず押さえておきたいのが広告のルールです。整骨院(柔道整復の施術所)は国家資格の柔道整復師が施術する施設で、柔道整復師法によって広告できる事項が限られています。厚生労働省は2025年2月18日に「あはき・柔整広告ガイドライン」を示しました。
| 整骨院(柔道整復の施術所) | 整体院 | |
|---|---|---|
| 資格 | 国家資格(柔道整復師) | 国家資格ではない |
| 看板・チラシなどの広告 | 柔道整復師法で広告できる事項が限られる(施術所の名称、所在地、施術時間、予約制、駐車設備など) | 国家資格の施術だと誤解させる表示は避ける(ガイドラインに無資格者の広告の考え方も定められている) |
| ホームページなど | 原則として法律の広告規制の対象外だが、ガイドラインで内容の在り方が示されている | 景品表示法などの一般的なルールが適用される |
| 共通して避けたい表現 | 医療と紛らわしい表現、症状が治る・良くなると受け取れる表現 | 医療と紛らわしい表現、症状が治る・良くなると受け取れる表現 |
福岡市の「施術所等について広告し得る事項」によると、柔道整復の施術所が広告できるのは、柔道整復師であること、施術所の名称・所在地・電話番号、施術日や施術時間、予約制や休日・夜間の施術、駐車設備などに限られます。また千葉県のガイドラインの案内ページでは、ウェブサイトは原則として法律の広告規制の対象外である一方、ガイドラインで内容の在り方を定めていること、無資格者による広告の在り方もあわせて定めていること、医療法や景品表示法などほかの法令も適用されることが説明されています。広島県の案内ページでも、無資格者による行為の事故情報を踏まえて無資格者の広告も対象に含めたと説明されています。表現に迷ったときは、院のある地域の保健所や都道府県の担当窓口に確認するのが確実です。
院長が自分で進めるときにつまずきやすい点
5つの段階は、一つひとつは難しくありません。それでも、ご相談を受けていると、つまずく場面はだいたい決まっています。
- 時間がない:院長が施術も受付も経理も担っていて、集客の作業がいつも後回しになる。
- 手段を同時に始めてしまう:MEO、Instagram、チラシ、ホームページを一度に始め、どれも中途半端になる。
- 効果が分からない:どこから予約が来たかを記録しておらず、続けるかやめるかを判断できない。
- 方針が決まらない:段階1の「誰に来てほしいか」が決まらず、発信の内容がぶれる。
特に最後の点は、集客だけを見ていても答えが出にくい悩みです。私の支援先でも、最初は「Instagramをどうするか」「Googleマップをどうするか」という個別のご相談だったのが、話を進めるうちに「この院は誰のために、何を大切にしていくのか」という事業全体の整理に広がることがよくあります。方針が決まると、どの手段にどれだけ時間を使うかも自然に決まっていきます。
まとめ
整体院・整骨院の集客は、①誰に来てほしい院かを決める、②予約の受け皿を整える、③Googleマップで見つけてもらう、④比較されたときに選ばれる情報を出す、⑤再来院と紹介につなげる、の順番で進めると、むだな手間やお金を減らせます。整骨院は柔道整復師法とガイドラインで広告できる内容が限られ、整体院も国家資格と誤解させる表示や医療と紛らわしい表現は避ける必要があります。まずは今の院がどの段階で詰まっているかを、予約の記録から確かめてみてください。
とはいえ、施術をしながら、どの段階から手を付けるかを決め、記録を取り、改善を続けるのは簡単ではありません。優先順位の整理や方針づくりは、院の外から一緒に考える人がいると進めやすくなります。当社の事業戦略顧問では、集客から事業全体の戦略づくりまで、経営者の方と一緒に整理し、実行まで伴走しています。「うちの院は何から始めればいいか」を整理したいときは、お気軽にご相談ください。
よくある質問
- 整骨院・整体院の集客で、最初にお金をかけるべきところはどこですか?
- まずはお金をかける前に、来てほしい人を決め、予約方法や料金・アクセスの情報を整えることをおすすめします。Googleビジネスプロフィールの登録と管理は、Googleの公式ヘルプの手順に沿って院長が自分で行えます。
- 整骨院のホームページに「肩こりが治る」と書いてもよいですか?
- 避けるべきです。厚生労働省の「あはき・柔整広告ガイドライン」では医療と紛らわしい表記は認められないとされており、症状が治ると受け取れる表現は控えましょう。判断に迷う場合は、院のある地域の保健所に確認してください。
- クチコミを増やすために、割引と引き換えにお願いしてもよいですか?
- おすすめしません。事業者が依頼したことを隠した投稿は、2023年10月1日から景品表示法のステルスマーケティング規制の対象になっています。会計時の一言などで、感想を自然にお願いするのが基本です。
- Googleマップの順位は、業者に頼めば必ず上がりますか?
- 必ず上がるとは言えません。Googleは公式ヘルプで、順位を上げるための依頼や支払いを受け付けていないと明記しています。上位表示を約束する営業には注意してください。
出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」/消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」/福岡市「施術所等について広告し得る事項」/千葉県 あはき・柔整広告ガイドラインの案内ページ/広島県 施術所の広告に関する案内ページ
