文責:藤田 泰仁
社外連絡のツールは、機能の多さより「相手が入りやすいか」「社外の人数と案件数」「履歴をどこまで残すか」の3つで決めると迷いにくくなります。取引先や外部の専門家など、ITツールに慣れていない相手とも幅広くやり取りするならchatwork、相手もSlackを使っていて、案件ごとにチャンネルを分けて深く連携したいならSlackが向いています。ツールを決めたら、次は連絡の中身にかかる時間を減らすことに目を向けてみてください。
社外とのやり取りが多いなら、基本はchatwork。相手もSlackを使っているならSlack
Slackとchatworkの違いは、社外の人とつながる仕組みにあります。chatworkは、メールで招待した相手を「コンタクト」として追加する形で、社外の人ともつながる前提の作りです。無料プランでも組織外のコンタクトを1ユーザー20人まで持てて、有料プランなら無制限です。Slackで社外の人とやり取りする機能は「Slackコネクト」と呼ばれ、無料プランでは1対1のダイレクトメッセージに限られます。チャンネルを社外と共有するには有料のプロプラン以上が必要です。相手のITの慣れ、社外の人数、履歴の残し方の3つで選ぶと失敗しにくくなります。
合同会社well coの藤田です。事業戦略顧問として小規模事業者の方とお話ししていると、「取引先との連絡がメール、電話、LINE、チャットに散らばって、どこで何を話したか分からなくなる」という声をよく聞きます。原因の1つは、社外連絡に使うツールを決めないまま、相手に合わせて増やしてしまうことです。この記事では、社外とのやり取りが多い会社がSlackとchatworkのどちらを選ぶかを、3つの基準で整理します。
Slackとchatworkの違いは?社外連絡の目線で比べると
どちらもビジネスチャット(仕事用のチャットツール)ですが、社外の人を招く仕組みと、無料プランの制限が大きく違います。下の表は、各社の公式の料金ページ(Slack 料金プラン/Chatwork 料金プラン)で確認した内容です。
| 比べるところ | Slack(スラック) | chatwork(チャットワーク) |
|---|---|---|
| 社外とつながる仕組み | Slackコネクト。社外の組織とDMやチャンネルでつながる | コンタクト。メールなどで招待した相手と1対1やグループでつながる |
| 無料プランでの社外連絡 | 1対1のダイレクトメッセージのみ | 組織外のコンタクトは1ユーザー20人まで |
| 有料プランでの社外連絡 | プロ以上で、最大250の組織が参加できる共有チャンネルが使える | スタンダード以上でコンタクト数が無制限 |
| 無料プランの履歴 | メッセージの保存・検索は90日間 | 閲覧できるのは直近40日以内のメッセージ |
| 有料プランの料金(1ユーザー・月あたり) | プロ:月払い1,050円、年払い925円 | スタンダード:月契約840円、年契約700円(税抜) |
表から分かるのは、「社外の人と気軽につながる」ことはchatworkのほうが無料の範囲で始めやすく、「社外の組織とチャンネルを共有して深く連携する」ことはSlackの有料プランが得意だということです。どちらが優れているかではなく、自社の社外連絡の形に合うかどうかで選びます。
基準1:相手が無理なく参加できるのはどちらか?
1つ目の基準は、自社ではなく「相手」の目線です。社外連絡のツールは、相手が参加してくれなければ使えません。相手が日ごろどんなツールを使っているか、ITツールにどのくらい慣れているかを先に確かめます。
- 取引先の多くがすでにSlackを使っている:Slackコネクトでつながると、相手は自分のSlackのまま参加できます
- 相手が個人事業主や、チャットツールに慣れていない会社が多い:メールで招待して1対1から始められるchatworkのほうが、相手の負担が小さくなりやすいです
- 相手ごとに使っているツールがばらばら:自社から招くツールを1つ決め、相手から招かれた場合だけ相手のツールに合わせる、と線を引きます
Slackの共有チャンネルは便利ですが、公式の料金ページにあるとおり、無料プランではSlackコネクトが1対1のDMに限られます。相手が無料プランのままだと、思ったように使えないこともあります。招く前に「相手側に費用や手間が発生しないか」を一度考えておくと、関係がぎくしゃくしません。
基準2:社外の人数と案件の数はどのくらいか?
2つ目の基準は、やり取りする社外の人数と、同時に動く案件の数です。人数が多いか、案件が多いかで、向いているツールが変わります。
| 自社の状況 | 向いているツール | 理由 |
|---|---|---|
| 社外の相手は数人で、案件も少ない | どちらでも可(無料プランから試す) | 無料の範囲で足りることが多い |
| 取引先・外注先・専門家など、社外の相手が多い | chatwork | コンタクトでつながる形で、有料プランなら人数の上限がない |
| 社外の組織と、案件ごとに複数人で深く進める | Slack(有料プラン) | 共有チャンネルを案件ごとに分けて、資料や話題を整理しやすい |
| 社内の連絡もまとめて1つにしたい | 社内外の比率で決める | 社外が中心ならchatwork、社内の連絡が中心ならSlackが合いやすい |
無料プランで始める場合は、数字の上限に注意します。chatworkの無料プランは組織外のコンタクトが1ユーザー20人までです。取引先や外注先が増えてくると、すぐに届く人数です。今の人数ではなく、半年後・1年後に何人とやり取りしていそうかで考えておくと、途中で乗り換える手間を減らせます。
基準3:やり取りの履歴をどこまで残す必要があるか?
3つ目の基準は、履歴(過去のメッセージ)の残し方です。社外とのやり取りには、見積もりの条件、納期、修正の指示など、後から確かめたくなる内容が多く含まれます。無料プランのまま使うなら、どこまで遡れるかを知っておく必要があります。
- Slackの無料プラン:メッセージの保存・検索は90日間
- chatworkの無料プラン:閲覧できるのは直近40日以内のメッセージ
- どちらも有料プランにすると、より長い期間の履歴を扱えます
数か月にわたる案件や、契約に関わる話をチャットでする場合は、無料プランのままでは足りないことがあります。有料プランにするか、決まったことだけは別の場所(共有のフォルダや、案件ごとの記録)に残す習慣をつけると安心です。チャットは「話す場所」、決まったことは「残す場所」と分けておくと、ツールを変えても情報が散らばりません。
3つの基準で決めるときの早見表
3つの基準を順番に当てはめると、次のように整理できます。迷ったら、上から順に答えてみてください。
- 主な取引先がすでにSlackを使っている → Slackを第一候補にする(共有チャンネルを使うなら有料プランを前提に)
- 社外の相手が多く、ITツールに慣れていない相手もいる → chatworkを第一候補にする
- 社外の相手が20人を超えそう、または40日より前の履歴を見返す必要がある → chatworkなら有料プランを検討する
- どれにも当てはまらず少人数 → 無料プランで1か月試し、相手の反応と使いやすさで決める
大切なのは、決めたツールを社内で統一することです。担当者ごとに別のツールを使い始めると、社外連絡の窓口が分かれ、休みや退職のときに引き継げなくなります。
社外連絡のツールを決めたら、どんなルールを作ればよいか?
ツールを決めたら、最低限のルールを紙1枚にまとめておきます。社外の人が入る場所なので、情報の扱いには社内連絡以上に気を配りたいところです。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、個人事業主や小規模事業者も含む中小企業向けに「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を公開しています。ルールづくりで迷ったら、こうした公的な手引きも参考になります。
- 社外の人が参加するチャットと、社内だけのチャットを分ける
- お客様の個人情報や、パスワードなどはチャットに書かない
- 取引が終わった相手や、退職したスタッフのアカウントは早めに外す
- 決まったこと(金額・納期・仕様)は、チャットとは別の場所にも残す
- 返信の目安(例:営業日の翌日までに一次返信)を決めて、相手にも伝える
ツールを決めた後に、社外連絡の手間をもっと減らすには?
連絡の窓口を1つにまとめると、探す時間は減ります。ただ、社外連絡で本当に時間を取られるのは、返信の文面を考える時間や、打ち合わせの内容をまとめて共有する時間であることが多いです。ここは、AIに下書きを手伝わせると手間を減らしやすい部分です。
| 社外連絡で時間がかかる作業 | AIに手伝わせられること | 人が残すこと |
|---|---|---|
| 問い合わせや依頼への返信 | 返信文の下書きを作る | 内容の確認と、相手に合わせた一言 |
| 打ち合わせ後の共有 | 録音から議事録(会議の記録)の下書きを作る | 決まったことと、次の担当・期限の確認 |
| 紙で届いた見積書・発注書の入力 | OCR(画像の文字を読み取ってデータにする技術)で読み取る | 金額や日付の読み間違いがないかの確認 |
AIの下書きは、そのまま送らないことが大前提です。AIはもっともらしい間違いを書くことがあります。特に社外に送る文章は、金額や日付、相手の名前に誤りがないかを必ず人が確かめてください。また、取引先の情報をAIに入力してよいかは、ツールのデータの扱いを確かめてから決めましょう。
まとめ
社外連絡にSlackとchatworkのどちらを使うかは、「相手が無理なく参加できるか」「社外の人数と案件の数」「履歴をどこまで残すか」の3つで決めると迷いにくくなります。社外の相手が多く、ITツールに慣れていない相手もいるならchatwork、相手もSlackを使っていて案件ごとに深く連携したいならSlackが向いています。決めたツールは社内で統一し、最低限のルールも一緒に決めておきましょう。
連絡の窓口が整ったら、次は返信文や議事録づくりにかかる時間に目を向けてみてください。当社のディープラは、AIチャット・議事録作成・OCR・SNS投稿作成などをまとめて使える、中小企業・個人事業主向けのプラットフォームです。無料のまま使い続けることもできます(データの保管期間や分析機能に制限があります)。まずは、社外連絡で時間がかかっている作業を1つ選んで、手間が減るかを試してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
- Slackとchatworkの一番の違いは何ですか?
- 社外の人とのつながり方です。chatworkはメールなどで招待した相手をコンタクトとして追加する形で、無料プランでも組織外のコンタクトを1ユーザー20人まで持てます。Slackで社外とやり取りするSlackコネクトは、無料プランでは1対1のDMに限られ、チャンネルの共有には有料プランが必要です。
- 社外とのやり取りが多い会社にはどちらが向いていますか?
- 取引先や外注先など、社外の相手が多く、ITツールに慣れていない相手もいるならchatworkが始めやすいです。主な取引先がすでにSlackを使っていて、案件ごとにチャンネルを分けて深く連携したいならSlackの有料プランが向いています。
- 無料プランのままでも社外連絡に使えますか?
- 少人数なら使えます。ただし、Slackの無料プランはメッセージの保存・検索が90日間、chatworkの無料プランは閲覧できるのが直近40日以内のメッセージです。長い案件や契約に関わる話をする場合は、有料プランにするか、決まったことを別の場所に残してください。
- 取引先ごとに違うツールを使ってもよいですか?
- 相手から招かれた場合は合わせて問題ありません。ただ、自社から招くツールは1つに決めておくのがおすすめです。窓口が増えるほど、どこで何を話したか分からなくなり、引き継ぎも難しくなります。
- 料金や無料プランの制限は変わりますか?
- 変わることがあります。この記事の内容は2026年10月時点で各社の公式サイトを確認したものです。導入や契約の前には、必ず公式サイトで最新の内容を確かめてください。
出典:Slack「料金プラン」/Chatwork「料金プラン」/独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」
