お問い合わせ

COLUMN

小さな会社が最初にAIに任せたい事務作業5つ|任せる前に決めること

2026.10.28

文責:藤田 泰仁

事務作業をAIに任せるなら、まずは「下書き・整理・要約」のように、最後に人が確認できる作業から始めるのが安全です。問い合わせ返信の下書き、集客の数字の報告書、帳簿の下準備、議事録、SNS投稿文の5つは、その代表です。任せる前に「入力しない情報」「確認する人」「任せる範囲」「効果の測り方」の4つを決めておくと、手間を減らしながら失敗を防げます。

最初にAIに任せたい事務作業は「下書き・整理・要約」の5つ

小さな会社が事務作業をAIに任せるなら、最初は「AIが下書きを作り、人が確認して仕上げる」形にできる作業から始めるのがおすすめです。具体的には、①問い合わせへの返信の下書き、②集客の数字の報告書づくり、③帳簿の下準備、④打ち合わせの議事録づくり、⑤SNS投稿文の案出しの5つです。反対に、値引きやクレームへの最終回答、税金の判断、採用の合否のように、判断そのものに責任が伴う作業は人が持ち続けます。任せる前には、入力しない情報・確認する人・任せる範囲・効果の測り方の4つを決めておきます。

合同会社well coの藤田です。事業戦略顧問として小規模事業者の経営者とお話ししていると、いちばんよく聞くお悩みが「時間がない」です。集客や新しい商品づくりに手を付けたいのに、返信や書類づくりに追われて1日が終わってしまう。そんなとき、AIは心強い助っ人になります。ただし、何でも任せればよいわけではありません。この記事では、最初に任せたい作業と、任せる前に決めておきたいことを整理します。

中小企業のAI活用はどこまで進んでいる?

生成AI(文章や画像を自動で作るAI)を使う会社は、ここ1年で大きく増えています。総務省の令和8年版 情報通信白書によると、2025年度の企業向け調査で、生成AIを「積極的に活用する」または「一定の条件のもとで利用する」方針の国内企業は68.9%でした。前年度の49.7%から上がっています。規模別では大企業が74.0%、中小企業が58.1%です。

数字を見ると、中小企業でも半分以上が使う方向に動いています。一方で、現場では「何に使えばよいか分からない」という声もよく聞きます。だからこそ、最初の一歩は「任せやすい作業」を選ぶことが大切です。

AIに任せやすい作業と任せにくい作業はどう分ける?

分け方の目安はシンプルです。「間違えても、人が確認すれば直せる作業」は任せやすく、「間違えると取り返しがつかない判断」は任せにくい作業です。AIはもっともらしい間違いを出すことがあります。だから、最後に人が目を通せる形の作業から始めると安心です。

区分作業の例理由
任せやすい返信の下書き、報告書のたたき台、領収書の読み取り、議事録の下書き、投稿文の案AIが作ったものを人が確認・手直しできる
一部なら任せられる見積書の文面、お客様へのお知らせ文、求人票の文章文章づくりは任せ、金額や条件は人が決める
任せにくい値引きやクレームへの最終回答、税金や法律の判断、採用の合否、お金の支払い判断に責任が伴い、間違えると取り返しがつきにくい

表の区分は、私が支援の現場で使っている目安です。業種によって線引きは変わりますので、自社に置きかえて考えてみてください。

最初に任せたい事務作業5つとは?

1. 問い合わせへの返信の下書き

問い合わせへの返信は、1回は短くても回数が多く、合計すると大きな時間になりやすい作業です。営業時間、料金、予約の取り方など、よく聞かれる質問への答えをまとめておき、それをもとにAIに下書きを作らせます。人は内容を確かめ、お客様に合わせた一言を足して送ります。

  • AIに任せる:よくある質問への返信文の下書き、ていねいな言い回しへの直し
  • 人が残す:内容の確認、値引きや例外対応の判断、最後の送信

2. 集客の数字の報告書づくり

ホームページの閲覧数、Instagramのインサイト(投稿の見られ方を示す数字)、問い合わせ数などを毎月まとめる作業も、AIに向いています。数字を貼り付けて「先月との違いと、目立つ変化を3つ挙げて」と頼むと、報告書のたたき台ができます。数字を集めて並べる時間が減る分、「次に何をするか」を考える時間に回せます。

  • AIに任せる:数字の整理、先月との比較、変化の要約
  • 人が残す:元の数字が正しいかの確認、次の打ち手の決定

3. 帳簿の下準備

領収書や請求書の内容を手で打ち込む作業は、OCR(画像の文字を読み取ってデータにする技術)で短くできます。日付・金額・取引先を読み取って一覧にし、勘定科目(経費の分類)の候補を出すところまでをAIに手伝わせます。最終的な仕訳や税金の判断は、人や顧問の税理士が確かめてください。

なお、メールやWebでやり取りした請求書・領収書などのデータは、電子帳簿保存法で保存のしかたが定められています。AIやツールで読み取った後も、元のデータをどう保存するかは、国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで確かめておくと安心です。

4. 打ち合わせの議事録づくり

打ち合わせの録音から、議事録(会議の記録)の下書きを作る作業もAIの得意分野です。話した内容を全部書き起こすより、「決まったこと」「次にやること」「担当と期限」の形でまとめさせると、読み返しやすくなります。録音する前には、相手に一言断っておくのがマナーです。

5. SNS投稿文の案出し

SNSの投稿は、毎回ゼロから文章を考えると時間がかかります。伝えたいこと、写真の内容、読んでほしい相手をAIに伝えて、投稿文の案を3つほど出させます。そこから自社らしい言葉に直して使います。ハッシュタグの候補を出させるのも便利です。

  • AIに任せる:投稿文の案、言い回しのバリエーション、ハッシュタグの候補
  • 人が残す:自社らしい言葉への手直し、写真選び、事実の確認

AIに任せる前に決めておく4つのこととは?

作業を選んだら、使い始める前に次の4つを決めておきます。紙1枚に書けるくらいの簡単なルールで十分です。決めずに始めると、「誰も確認しないまま送ってしまった」「お客様の情報を入れてよかったのか分からない」といった不安が後から出てきます。

決めること具体的な中身決め方の例
入力しない情報AIに入れてはいけない情報の範囲お客様の氏名・連絡先・健康に関わる情報は入れない、など
確認する人AIが作ったものを誰が確かめるかお客様に送るものは経営者が確認する、など
任せる範囲下書きまでか、どこまで自動にするか最初の1か月は下書きまで。送信は人が行う、など
効果の測り方時間が減ったかをどう確かめるか作業1回の時間を、使う前と後でメモして比べる、など

お客様の情報はどこまで入れてよい?

いちばん気をつけたいのが個人情報です。個人情報保護委員会は2023年6月に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を出しています。事業者が個人情報を含む指示文(プロンプト)を入れるときは、利用目的の範囲内かを十分に確かめること。また、本人の同意なく個人データを入れ、それが回答を出す以外の目的で使われると、個人情報保護法に違反するおそれがあるとしています。

そのため、使うAIサービスが入力したデータを学習に使わない設定になっているか、利用規約で確かめておきましょう。迷うときは、名前や連絡先を「Aさん」などに置きかえてから入力すると安全です。

最初の1か月はどう進めればよい?

最初の1か月は、5つの作業のうち1つか2つに絞ります。おすすめは、自社でいちばん回数が多い作業です。全部を一度に変えようとすると、使い方を覚えるだけで手いっぱいになり、本業が止まってしまいます。

  • 1週目:任せる作業を1〜2つ選び、今かかっている1回の時間をメモする
  • 2週目:4つのルールを決めて、AIで下書きを作り始める
  • 3週目:使いながら、うまくいった頼み方(指示文)をメモにためる
  • 4週目:1回の時間を比べ、続けるか、別の作業に替えるかを決める

時間が減ったら、うまくいった指示文をスタッフにも共有します。時間が変わらなかったときは、作業の選び方か頼み方を見直します。どちらの結果でも、次の作業選びに役立つ材料になります。

ツールを増やしすぎないためには?

AIを使い始めると、返信はこのサービス、議事録はあのアプリ、SNSはまた別のツール、と道具が増えがちです。ログインや料金の管理、使い方を覚える時間が、新しい手間になってしまいます。小さな会社ほど、なるべく1か所でまとめて使える道具を選ぶほうが、取り戻した時間を本業に回しやすくなります。

まとめ

小さな会社が最初にAIに任せたい事務作業は、問い合わせ返信の下書き、集客の数字の報告書づくり、帳簿の下準備、議事録づくり、SNS投稿文の案出しの5つです。どれも「AIが下書きを作り、人が確認して仕上げる」形にできます。任せる前に、入力しない情報・確認する人・任せる範囲・効果の測り方の4つを決めておきましょう。

5つの作業をまとめて試したい方は、当社のディープラも選択肢の1つにしてみてください。AIチャット・議事録作成・OCR・SNS投稿作成などを1か所で使える、中小企業・個人事業主向けのプラットフォームです。無料のまま使い続けることもできます(Instagramのインサイト分析などの分析機能が使えない、データの保管期間に制限があるなどの条件があります)。まずは今月、回数の多い作業を1つ選んで試してみてください。

よくある質問

事務作業をAIに任せるなら、何から始めればよいですか?
回数が多く、最後に人が確認できる作業から始めるのがおすすめです。問い合わせへの返信の下書きや、議事録の下書きは、多くの会社で始めやすい作業です。
AIが作った文章をそのままお客様に送ってもよいですか?
おすすめしません。AIはもっともらしい間違いを出すことがあります。送る前・公開する前には、必ず人が内容を確かめてください。
お客様の名前や連絡先をAIに入力しても大丈夫ですか?
個人情報保護委員会は、個人情報を入力する場合は利用目的の範囲内かを確かめ、入力したデータが機械学習に使われないことなどを確認するよう注意を呼びかけています。迷うときは、名前などを置きかえてから入力しましょう。
帳簿づけはAIに全部任せられますか?
領収書の読み取りや勘定科目の候補出しなどの下準備は任せられますが、最終的な仕訳や税金の判断は人や顧問の税理士が確かめてください。電子でやり取りした書類の保存方法は、国税庁の案内で確認しておくと安心です。
1人で事業をしていても、AIに事務作業を任せる意味はありますか?
あります。1人の事業者ほど、事務作業の時間がそのまま本業の時間を圧迫します。回数の多い作業を1つ任せるだけでも、集客や商品づくりに使える時間を取り戻しやすくなります。

出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」/個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」/国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」

CONTACT

経営者の挑戦を応援します

まずはお気軽にご相談ください。

受付:平日10:00〜18:00