文責:藤田 泰仁
クチコミ返信は、ていねいで簡潔に、個人情報に触れず、言い争わないことが基本です。高評価には具体的なお礼、低評価には事実確認と対応できることの説明、事実と違うクチコミには冷静な訂正を返します。削除を報告できるのはGoogleのポリシーに違反するクチコミだけで、内容が厳しいというだけでは削除されません。
クチコミ返信は「ていねい・簡潔・個人情報に触れない」が基本
Googleマップのクチコミへの返信は、ていねいで簡潔に書き、投稿者の個人情報に触れず、言い争わないことが基本です。Googleの公式ヘルプでも、返信は分かりやすく礼儀正しいものにし、長すぎる返信は避けるよう案内されています。低評価のクチコミには、まず何があったかを確かめ、店のミスなら誠実に謝り、そうでなければ対応できることとできないことを落ち着いて伝えます。一方、クチコミの削除を報告できるのは、Googleのポリシーに違反しているものだけです。内容が厳しい、気に入らないという理由だけでは削除されません。この記事では、返し方の型と例文、やってはいけない返信、削除を報告できるケースを順に整理します。
この記事のルールや手順は、Googleの公式ヘルプに書かれている内容をもとにしています。例文は、地域の店主の方が自分の言葉に直して使えるよう、短めにまとめました。
クチコミ返信の基本は?Googleが示すポイント
Googleは「クチコミを増やすためのヒント」の中で、返信のコツをまとめています。要点は次のとおりです。
- ていねいに書く:分かりやすく、役に立ち、礼儀正しい返信にする。返信もGoogleのコンテンツポリシーの対象になる。
- 簡潔に書く:誠実で役立つ内容にし、長すぎる返信は避ける。
- 売り込まない:投稿者はすでにお客様なので、割引や販促を持ちかける必要はない。来店しただけでは分からない新しい情報を伝える。
- 低評価には個人攻撃をしない:投稿者の個人情報を出したり、個人を責めたりしない。解決のために電話やメールでの直接のやり取りを案内する。
- 早めに返す:お客様の体験を大切にしている姿勢を示すため、速やかに返信する。
なお、返信するにはGoogleビジネスプロフィール(Googleマップに出る店舗情報)のオーナー確認が必要です。また「ユーザーからのクチコミを管理する」によると、返信は公開前にポリシーに沿っているか審査されます。通常は10分ほどですが、最長で30日ほどかかることもあります。返信は後から編集・削除もできます。オーナー確認がまだの方は、MEO対策の最初の手順から始めてください。
高評価のクチコミにはどう返信する?型と例文
高評価のクチコミには、「お礼」「具体的に触れる」「次につながる一言」の3つで返すと、短くても気持ちが伝わります。Googleのヘルプでは、すべてのクチコミにお礼を書く必要はないともされています。数が多い店は、具体的な感想が書かれたものから優先して返すと続けやすくなります。
- お礼:来店と投稿へのお礼を伝える。
- 具体的に触れる:クチコミで褒められた点に一言ふれる。定型文の使い回しに見えにくくなる。
- 次につながる一言:季節のメニューや営業時間の変更など、来店しただけでは分からない情報を添える。
【飲食店の例】ご来店とあたたかいクチコミをありがとうございます。ランチの日替わり定食を気に入っていただけて、スタッフ一同とても励みになりました。11月からは平日夜も同じ定食をお出ししています。またお近くにお越しの際はお立ち寄りください。店主 山田
【サロンの例】ご来店ありがとうございます。仕上がりの色味を気に入っていただけたとのこと、担当者に伝えたところとても喜んでいました。来月から土曜日の受付時間を19時まで延ばします。次回もどうぞよろしくお願いいたします。
例文の最後に店主の名前を入れています。Googleのヘルプでも、名前やイニシャルを添えると返信の信頼性が高まるとされています。ただし、ここで書くのは店側の名前です。お客様の名前は書きません(理由は後で説明します)。
低評価のクチコミにはどう返信する?型と例文
低評価のクチコミには、すぐに書き始めず、まず何があったのかを確かめます。そのうえで「共感とお詫び」「事実に沿った説明」「対応できること」「直接の連絡先の案内」の順で返します。この返信は、投稿した本人だけでなく、これから店を選ぶ人も読んでいます。
- 事実を確かめる:予約や会計の記録、スタッフの話から、何が起きたのかを確認する。
- 共感とお詫び:不快な思いをさせたことに共感を示す。店のミスなら誠実に謝る。
- 事実に沿った説明:言い訳にならない範囲で、原因や店の考えを短く伝える。
- 対応できること:改善したこと、これから変えることを具体的に書く。店に非がない場合は、責任を過度に負わず、できることとできないことを説明する。
- 直接の連絡を案内する:細かいやり取りは、公開の場ではなく電話やメールで行う。
【待ち時間が長かったという指摘の例】ご来店いただいたのに、長くお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。当日は予約の受け方に無理があり、お声がけも遅れていました。現在は予約の間隔を見直し、お待たせする場合は先にお伝えするようにしています。よろしければ、お電話で詳しいお話をお聞かせいただけますと幸いです。店主 山田
【店のルールへの不満の例】ご意見をありがとうございます。ご希望に沿えず、残念な思いをさせてしまいました。当院では、施術の時間を守るため、10分以上遅れた場合は短い時間での対応とさせていただいています。ご予約の際にお伝えできるよう、案内の仕方を見直します。
2つ目の例のように、ルールそのものは変えられないこともあります。その場合も、ルールの理由と、伝え方など店として変えられる部分を分けて書くと、読む人に誠実さが伝わります。
事実と違うクチコミにはどう返信する?型と例文
事実と違うクチコミには、相手を「うそ」と決めつけず、確認した事実だけを落ち着いて書きます。別の店と勘違いしている、営業時間や料金を古い情報で書いている、といったケースが現場ではよくあります。ポリシーに違反する内容であれば、返信とは別に削除の報告もできます(次の章で説明します)。
【別の店と勘違いされている可能性がある例】ご投稿ありがとうございます。記録を確認しましたが、ご記載の日は定休日で、当店では営業しておりませんでした。もしお心当たりの点がございましたら、お手数ですがお電話でお知らせください。
【古い情報による誤解の例】ご意見ありがとうございます。駐車場について、昨年まで2台分でしたが、現在は店の裏に5台分をご用意しています。分かりにくい案内になっていたことをお詫びし、Googleマップの情報も更新しました。
2つ目の例のように、誤解のもとが店側の情報の古さにあることもあります。返信と合わせて、Googleビジネスプロフィールの営業時間や写真を最新にしておくと、同じ誤解が起きにくくなります。
やってはいけないクチコミ返信の例文
やってはいけない返信は、大きく「個人情報に触れる」「言い争う」「売り込む・特典で釣る」の3つです。どれも、気持ちが高ぶっているときほど書いてしまいがちです。
| やってはいけない例文 | 何が問題か | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「〇〇様、先週火曜の19時にご予約の件ですが…」 | 投稿者の名前や来店日時など、店しか知らない情報を公開している | 「ご来店の際は、ご不便をおかけしました」 |
| 「腰痛でお越しの〇〇様には…」 | 症状など健康に関する情報は特に慎重に扱うべき個人情報 | 「施術の内容について、改めてご説明の機会をいただけますと幸いです」 |
| 「そのような事実はありません。営業妨害です」 | 相手を決めつけて言い争っている。読んだ人に悪い印象が残る | 「記録を確認しましたが、ご記載の日は定休日でした」 |
| 「お客様のマナーにも問題がありました」 | 公開の場で個人を責めている | 「当店のルールについて、ご予約時に分かりやすくお伝えするよう見直します」 |
| 「次回このクチコミを見せてくれたら10%引きします」 | 販促を持ちかけている。評価の変更や削除の見返りに特典を出すことはGoogleが禁止している | 「11月から平日夜の営業を始めました」 |
なぜ個人情報に触れてはいけないのか?
Googleの「禁止または制限されているコンテンツ」では、本人の同意なく名前や顔の分かる写真、お金・医療・身分証に関する情報を公開することが禁止されています。返信もこのポリシーの対象です。Googleのヘルプによると、クチコミへの返信では、店からの返信として表示され、お客様の個人名は表示されない仕組みになっています。それなのに返信で名前や来店日時を書くと、本人が特定されるおそれがあります。整骨院・整体やサロンなど、体のことに関わる業種では、症状や施術の内容にも触れないようにしましょう。
なぜ言い争ってはいけないのか?
返信は投稿者との1対1のやり取りに見えますが、実際には、これから店を選ぶ多くの人が読んでいます。反論が正しくても、言い争っている様子そのものが「この店は少し怖い」という印象を残します。腹が立ったときは、その場で書かずに一晩おいてから、事実だけを書くくらいがちょうどいいと私は考えています。細かい事情は、電話やメールでの直接のやり取りに切り替えましょう。
クチコミの削除を報告できるのはどんなケース?
削除を報告できるのは、Googleのポリシーに違反しているクチコミです。Googleの「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」では、どのクチコミでも報告はできるものの、削除されるのはポリシー違反のものだけで、不満がある・気に入らないという理由だけで報告しないよう案内されています。ポリシーで禁止されている主な内容は次のとおりです。
| ポリシーの項目 | 主な内容 | 店で起こりがちな例 |
|---|---|---|
| 虚偽のエンゲージメント | 実際の体験に基づかない投稿、お金をもらって書いた投稿、1人が複数アカウントで書いた投稿など | 来店していない人による低評価が短期間に続く |
| 関連性のないコンテンツ | その場所と関係のない一般的な意見、政治・社会的な主張、個人的な恨みなど | 店と関係のない話題や、特定の個人への恨みが書かれている |
| 利益相反 | 競合店や元従業員、家族など、店と利害関係のある人による投稿 | 競合店の関係者が書いたと分かる低評価 |
| 個人情報 | 本人の同意のない名前、顔の分かる写真、医療・お金などの情報 | スタッフの実名とともに私生活について書かれている |
| ハラスメント・不適切なコンテンツ | 脅し、個人をさらしものにする投稿、根拠なく犯罪や不正を言い立てる投稿など | 根拠なく「詐欺の店」と書かれている |
| わいせつ・冒とく的な表現 | 人を不快にさせる、または批判を強めるための下品な言葉 | 暴言が並んでいる |
逆に言えば、「料理がぬるかった」「接客がそっけなかった」といった、実際の体験にもとづく厳しい感想は、削除の対象になりにくいと考えておきましょう。Googleのヘルプでも、否定的なクチコミがサービスの改善点を示している場合があるとしています。こうしたクチコミには、削除を目指すより、前の章の型で返信するほうが、読む人への印象は良くなります。
クチコミの削除を報告する手順と、その後の流れ
報告は、Googleビジネスプロフィールから行えます。手順は次のとおりです。
- Googleビジネスプロフィールを開き、クチコミの一覧を表示する。
- 対象のクチコミの「報告」を選ぶ。
- スパム、冒とく的な表現など、当てはまる理由を選んで送信する。
Googleのヘルプによると、審査には通常数日かかり、状況は「クチコミ管理ツール」で確認できます。「審査完了 - ポリシー違反なし」と判断された場合は、1回だけ再審査を請求できます(一度に選べるのは10件まで)。結果はメールで届き、違反と判断されれば削除、違反がなければ公開されたままです。報告するときは、投稿日や内容のスクリーンショットを残しておくと、後で状況を整理しやすくなります。
「低評価を消してほしければお金を払え」と言われたら
低評価のクチコミが急に増えた後、削除と引き換えにお金や商品を求められるケースは、恐喝詐欺として別の窓口があります。Googleの「否定的なクチコミによる恐喝詐欺を報告する」では、相手とやり取りしたり支払ったりしないこと、支払ってもさらに要求される可能性があり削除も保証されないことが書かれています。日時や送信者が分かるスクリーンショットなどの証拠を早めに集め、専用のフォームから報告しましょう。
名誉毀損など法律の問題がありそうなとき
ポリシー違反ではなく、法律に違反している、権利を侵害していると考えられる場合は、Googleの「法的な理由でコンテンツを報告する」という別の窓口があります。どちらに当たるか判断に迷うときは、総務省の委託事業である「違法・有害情報相談センター」に無料で相談できます。誹謗中傷や、書き込んだ人を特定したいといった相談も受け付けています。具体的な法的手続きは、弁護士に相談してください。
なお、「低評価を消します」「クチコミを非表示にします」とうたう業者の広告を見かけることがあります。Googleが示している削除の手段は、ここで紹介した報告の手順です。外部の業者に頼む前に、MEO対策の業者と契約する前に確認したい項目も目を通しておくと安心です。
クチコミ返信を続けるときにつまずきやすい点
返信の型が分かっても、続けようとすると、つまずく場面はだいたい決まっています。地域の店主の方から相談を受けていても、次のような声をよく聞きます。
- 時間が取れない:本業が忙しく、返信が数週間たまってしまう。
- 同じ指摘が続く:返信でお詫びはしているのに、待ち時間や予約の分かりにくさなど、同じ不満が何度も書かれる。
- クチコミが店の改善に生かされていない:返信して終わりになり、メニューや接客、案内の見直しにつながっていない。
- Googleマップだけで考えてしまう:マップで店を知った人が、SNSやホームページ、予約ページでつまずいていることに気づきにくい。
特に2つ目と3つ目は、返信の文面では解決できない悩みです。同じ指摘が続くときは、クチコミを「店の仕組みのどこに無理があるか」を教えてくれる記録として読み直すと、手を打つ場所が見えてきます。マップで見つけてもらった後の流れは、MEOとInstagramの役割の分け方も参考にしてください。
まとめ
クチコミ返信は、ていねいで簡潔に、個人情報に触れず、言い争わないことが基本です。高評価には「お礼・具体的に触れる・次につながる一言」、低評価には事実を確かめたうえで「共感とお詫び・説明・対応できること・直接の連絡の案内」、事実と違うクチコミには確認した事実だけを冷静に返します。削除を報告できるのはGoogleのポリシーに違反するクチコミだけです。恐喝や法律の問題が疑われるときは、それぞれの専用の窓口を使いましょう。
一方で、クチコミに書かれる不満の多くは、返信ではなく店の仕組みを変えないと減りません。予約の受け方、スタッフの動き方、集客の導線など、どこから手を付けるかの優先順位づけは、店の外から一緒に考える人がいると整理しやすくなります。当社の事業戦略顧問では、集客や業務改善を含めた事業の課題を経営者の方と一緒に整理し、実行まで伴走しています。「クチコミに出ている課題を、店全体の改善にどうつなげるか」を整理したいときは、お気軽にご相談ください。
よくある質問
- クチコミにはすべて返信したほうがいいですか?
- Googleのヘルプでは、すべてのクチコミにお礼を述べる必要はないとされています。新しい情報や関連する情報を伝えたいときに返信するのが基本です。低評価のクチコミには、なるべく早めに返信しましょう。
- 返信で投稿者の名前を書いてもいいですか?
- 避けましょう。Googleのポリシーでは、本人の同意なく名前などの個人情報を公開することが禁止されています。返信に名前を入れるなら、店主やスタッフなど店側の名前にします。
- 厳しいクチコミを報告すれば削除してもらえますか?
- 削除されるのは、Googleのポリシーに違反するクチコミだけです。実際の体験にもとづく厳しい感想は、削除の対象になりにくいと考えてください。ていねいに返信するほうが、読む人への印象は良くなります。
- 報告したのに削除されなかった場合はどうすればいいですか?
- 「審査完了 - ポリシー違反なし」と判断された場合は、クチコミ管理ツールから1回だけ再審査を請求できます。それでも違反なしと判断されれば、クチコミは公開されたままです。
- クチコミを書いてくれたお客様に割引をしてもいいですか?
- Googleは、投稿や内容の変更、否定的なクチコミの削除と引き換えに、無料や割引などの特典を提供することを禁止しています。違反するとビジネスプロフィールに制限がかかる可能性があります。
出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ユーザーからのクチコミを管理する」/マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールでの否定的なクチコミによる恐喝詐欺を報告する」/Google Legal ヘルプ「法的な理由でコンテンツを報告する」/違法・有害情報相談センター(総務省委託事業)
