文責:藤田 泰仁
MEOコンサルティングは、Googleマップの店舗情報(Googleビジネスプロフィール)の運用を外部に手伝ってもらうサービスです。基本の設定や更新は店主が自分でもできるため、頼むのは「時間が足りない部分」と「判断に迷う部分」に絞るのが基本です。契約前には、作業範囲と成果の測り方、費用の内訳、オーナー権限、クチコミの扱い、解約と引き継ぎの5項目を書面で確認します。Googleは上位表示の保証を危険信号としているため、順位を約束する営業には注意しましょう。
MEOコンサルティングは「頼む範囲」と「契約の中身」を先に決める
MEOコンサルティングとは、Googleマップに出る店舗情報「Googleビジネスプロフィール」の整備や運用を、外部の業者に手伝ってもらうサービスです。Googleビジネスプロフィール自体は無料で使え、基本の設定や更新は店主が自分でもできます。そのため、業者に頼むかどうかは「自分では時間が足りない部分」と「判断に迷う部分」があるかで決めるのが基本です。Googleは公式ヘルプで、検索やマップでの上位表示を保証する業者を危険信号として挙げています。契約前には、作業範囲と成果の測り方、費用の内訳、オーナー権限、クチコミの扱い、解約と引き継ぎの5項目を書面で確かめましょう。
合同会社well coの藤田です。集客の相談を受けていると、「MEO対策の営業電話がよくかかってくるけれど、頼んだほうがいいのか」という声をよく聞きます。この記事では、MEO対策の手順そのものではなく、「外に頼むかどうか」と「頼むなら契約前に何を確かめるか」に絞って整理します。手順を知りたい方は、先に「MEO対策とは?飲食店・整骨院・サロンが自分でできる最初の手順」を読んでおくと、この先の話が判断しやすくなります。
MEOコンサルティングでは何をしてもらえるのか?
MEO(Map Engine Optimization)は、Googleマップで店を見つけてもらうための取り組みを指す、日本でよく使われる呼び方です。MEOコンサルティングや運用代行の中身は業者によって違いますが、主に次のような作業が含まれます。
- 初期設定:店名・住所・営業時間・カテゴリ・説明文などの整備
- 写真や投稿の更新:季節のメニューやお知らせの投稿、写真の追加
- クチコミへの返信の代行や、返信文の作成
- レポート:表示回数・電話・ルート検索などの数字の報告
- 助言:競合の状況や、説明文・写真の改善点の提案
ここで押さえておきたいのは、これらの多くは店主が管理画面から自分でもできる作業だということです。Googleの公式ヘルプ「サードパーティと連携してビジネス プロフィールを管理するためのヒント」でも、ビジネスプロフィールは無料で使える一方、第三者に頼む管理業務は多くの場合有料になると説明されています。つまり、業者に払うお金は「プロフィールの利用料」ではなく「作業や助言への対価」です。
自分でやる範囲と、頼む価値がある範囲はどう分ける?
結論として、店の中の人しか分からない情報は自分で持ち、時間がかかる作業や判断に迷う部分を外に頼むのがおすすめです。全部を任せると、店の雰囲気やお客様の声が伝わりにくくなり、契約が終わったときに何も残らないこともあります。
| 作業 | 自分でやりたい理由/頼む価値がある理由 | 目安 |
|---|---|---|
| オーナー確認・アカウント管理 | 店の大切な資産。権限を手放すと、解約時に取り戻すのに手間がかかる | 必ず自分 |
| 営業時間・臨時休業の更新 | 変化を一番早く知っているのは店主 | 自分 |
| クチコミへの返信 | お客様の顔が分かる店主の言葉が伝わりやすい。文面の相談だけ頼むのは有効 | 自分(相談は外) |
| 写真の撮影・追加 | 日々の様子は店で撮るのが早い。看板メニューなど要所の撮影は外に頼む手もある | 自分+一部外 |
| 初期設定の見直し(カテゴリ・説明文など) | 一度きりの作業で、ルールを知っている人が見ると早い | 外に頼む価値あり |
| 数字の読み方・改善点の判断 | どの数字を見て何を変えるかは慣れが必要 | 外に頼む価値あり |
| 投稿の定期更新 | 時間が取れない店では外に頼むと続けやすい。ただし内容は店から出す | 状況次第 |
現場でよくあるのは、「とにかく全部やってほしい」と任せたものの、何が変わったのか分からないまま月額を払い続けているケースです。逆に、自分で全部やろうとして、本業の忙しさで止まってしまうケースもあります。どちらも、頼む範囲を最初に決めていないことが原因になりがちです。
「上位表示を約束します」という営業は、なぜ注意が必要なのか?
Googleマップの表示順は、業者が約束できるものではないからです。Googleは公式ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」で、地域の検索結果は主に「関連性」「距離」「知名度」で決まるとし、ランキングを上げるための依頼や金銭の受け取りには一切応じていないと明記しています。
さらに、Googleが第三者向けに定めた「ビジネス プロフィールのサードパーティ ポリシー」では、検索やマップでの上位表示や掲載を保証すること、Googleを装うこと、無料のサービスを有料と偽ることなどを、虚偽・誤解を招く主張として禁止しています。前述のヒントのページでも、次のような行動が危険信号として挙げられています。
- 上位表示の保証:特別な手段でランキングを約束・操作できると持ちかける
- Googleの社員や関係者を名乗る
- 透明性の欠如:閲覧数やクリック数などの実績をオーナーに見せない
- 脅し:許可なく情報を削除したり、アクセスしたりしようとする
- 料金の偽装:合意した額より高い料金を請求する
「〇位以内に入らなければ返金」といった成果報酬の形でも、順位は検索する人の場所や言葉で変わります。ある場所で測った順位が良くても、来店や予約が増えているとは限りません。順位よりも、電話・ルート検索・予約といった来店に近い数字で効果を確かめるほうが、店にとって意味のある判断ができます。
MEOコンサルティングの契約前に確認したい5項目
ここからは、契約前に確認したい5項目を順に紹介します。口頭の説明だけで決めず、契約書や見積書に書いてあるかを確かめるのがポイントです。
1. 作業範囲と成果の測り方は書面にあるか?
まず、月額で「何を、どれくらい」やってもらえるのかを確認します。投稿は月何回か、写真は誰が撮るのか、クチコミ返信は代行か文面の提案だけか、レポートはいつ何の数字を出すのか。ここがあいまいだと、期待と実際のずれが起きやすくなります。成果の測り方も、順位ではなく電話・ルート検索・予約数など、自分の店で確かめられる数字で決めておきましょう。Googleのヒントのページでも、月に1度はプロフィールの成果を確認し、第三者の仕事ぶりを評価するよう勧めています。
2. 費用の内訳と、プロフィールが無料であることの説明はあるか?
次に、費用の内訳です。初期費用、月額、最低契約期間、途中で料金が変わる条件を確認します。Googleのサードパーティ ポリシーでは、業者は管理サービスが有料であることを伝え、ビジネスプロフィール自体は無料だと明示すること、新規の顧客には書面で事前に知らせること、請求書に費用を明記することが求められています。ヒントのページでも、契約前にサービスと費用が明記された契約書の正式な写しを入手するよう勧めています。こうした説明がない業者は、慎重に検討したほうがよいでしょう。
3. オーナー権限は自分に残るか?
いちばん大事なのがここです。Googleビジネスプロフィールには「オーナー」と「管理者」という権限があり、Googleのヘルプ「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」によると、管理者は情報の編集やクチコミ返信はできますが、ユーザーの追加・削除やプロフィールの削除はできません。サードパーティ ポリシーでも、店側(最終顧客)が常にオーナー権限を持ち、業者は管理者として招待してもらうこと、パスワードを共有しないことが示されています。業者のアカウントでプロフィールを作り直す、店のパスワードを預かる、といった提案には応じないようにしましょう。
4. クチコミの集め方は、ルールに沿っているか?
クチコミを増やす方法の説明も、必ず聞いておきたい点です。Googleの「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー」では、割引や無料サービスなどと引き換えにクチコミを頼むこと、良いクチコミだけを選んで募ることなどが禁止されています。また、消費者庁によると、2023年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となり、規制の対象は広告主である事業者です。業者が勝手にやったことでも、依頼した店の責任が問われる可能性があります。「クチコミを代わりに集めます」という提案には、具体的な方法を確認しましょう。
5. 解約の条件と、終わったあとの引き継ぎは決まっているか?
最後に、解約の条件です。最低契約期間、解約の申し出の期限、途中解約の費用を確認します。あわせて、解約後に業者の管理者権限を外す手順、業者が作った写真や投稿文を店で使い続けてよいか、過去のレポートを受け取れるかも決めておくと安心です。Googleのサードパーティ ポリシーでは、契約解除の手続きは簡単でなければならず、通知から7営業日以内に店側が排他的な管理権限を取り戻せるようにすることが求められています。
契約前に使える確認チェックリスト
5項目を、営業担当者に聞く質問の形にまとめました。打ち合わせのときに、そのまま使ってみてください。
| 確認項目 | 業者に聞くこと | 注意したい答え |
|---|---|---|
| 作業範囲と成果 | 月に何をどれだけやるか。何の数字で成果を報告するか | 「全部お任せください」だけで中身が出てこない |
| 費用 | 初期費用・月額・最低期間・値上げの条件は書面にあるか | プロフィールが無料であることの説明がない |
| オーナー権限 | 店がオーナーのまま、業者は管理者として入るか | パスワードを預かりたい、業者のアカウントで作り直すと言う |
| クチコミ | クチコミをどうやって増やすのか | 特典と引き換え、業者側で投稿する、など |
| 解約と引き継ぎ | 解約の手順、権限を外す時期、写真・レポートの扱い | 解約時の費用や手順を書面で示せない |
頼む前に、店の側で決めておきたいことは?
業者を比べる前に、店の側で次の3つを決めておくと、提案の良し悪しを判断しやすくなります。
- 誰に来てほしいか:近所の常連か、遠方から特別な日に来る人か。説明文や写真の方向が変わる
- Googleマップの役割:新しいお客様の入口なのか、予約前の確認先なのか。SNSやホームページとの分担を決める
- 何の数字で判断するか:電話・ルート検索・予約数など、毎月同じ数字を記録する
2つ目のSNSとの役割分担は「MEOとInstagramはどう組み合わせる?地域の店の集客導線を役割で整理」で、3つ目の数字の記録は「小規模事業者の月次レポートはA4一枚でいい|作り方と打ち手の決め方」で詳しく紹介しています。数字を自分で記録しておけば、業者のレポートと照らし合わせることもできます。
また、MEOはあくまで集客の手段の一つです。マップで店を見つけてもらえても、予約ページが分かりにくい、看板メニューが伝わっていないといった理由で来店につながらないこともあります。「MEOを頼むかどうか」の前に、「今の集客で一番詰まっているのはどこか」を確かめておくと、お金と時間の使い方を誤りにくくなります。
まとめ
MEOコンサルティングは、Googleビジネスプロフィールの整備や運用を外部に手伝ってもらうサービスです。プロフィール自体は無料で、基本の作業は店主が自分でもできるため、頼むのは時間が足りない部分や判断に迷う部分に絞るのが基本です。上位表示を約束する営業は、Google自身が危険信号としています。契約前には、作業範囲と成果の測り方、費用の内訳、オーナー権限、クチコミの扱い、解約と引き継ぎの5項目を、書面で確かめてから決めましょう。
とはいえ、「MEOに力を入れるべきか、SNSやホームページを先に直すべきか」は、店の状況によって答えが変わります。限られた時間とお金をどこに使うかの優先順位づけは、外から一緒に考える相手がいると整理しやすくなります。当社の事業戦略顧問では、MEOを含む集客の見直しから事業全体の戦略づくり、実行まで、経営者の方と一緒に進めています。業者に頼むかどうか迷ったときの考えの整理にも、気軽にご相談ください。
よくある質問
- MEO対策は業者に頼まないと効果が出ませんか?
- そうとは限りません。Googleビジネスプロフィールは無料で使え、オーナー確認、正確な基本情報、写真、クチコミへの返信、情報の更新といった基本の作業は店主が自分でもできます。時間が足りない部分や判断に迷う部分だけを外に頼む方法もあります。
- 「必ず上位に表示します」と言われました。信用してよいですか?
- 注意が必要です。Googleはランキングを上げるための依頼や金銭の受け取りに応じていないと公式ヘルプで明記しており、第三者が上位表示を保証することをポリシーで禁止しています。
- 業者にGoogleアカウントのパスワードを教えても大丈夫ですか?
- おすすめしません。Googleのサードパーティ ポリシーでは、店側が常にオーナー権限を持ち、業者は管理者として招待してもらうこと、パスワードを共有しないことが示されています。管理者の追加は、オーナーが管理画面から行えます。
- 解約したあと、Googleマップの情報はどうなりますか?
- 店がオーナー権限を持っていれば、プロフィールは店に残り、業者の管理者権限を外すことで管理を取り戻せます。業者が作った写真や投稿文を使い続けてよいか、過去のレポートを受け取れるかは、契約前に確認しておきましょう。
出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「サードパーティと連携してビジネス プロフィールを管理するためのヒント」/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのサードパーティ ポリシー」/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」/マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」/消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
