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お客様との打ち合わせを議事録AIに任せる前に|録音と情報の注意点

2026.11.02

文責:藤田 泰仁

議事録AIは「録音から下書きを作る道具」として使うと、清書の手間を大きく減らせます。ただし、お客様との打ち合わせでは、録音の前に一言断ること、入力するサービスの規約で学習に使われないかを確かめること、出てきた下書きの決定事項・担当・期日を人が確かめることの3つが欠かせません。この3つを決めてから、まず社内の打ち合わせで試すと安心です。

議事録AIは「下書き係」として使い、人が3点を確かめる

議事録AIとは、打ち合わせの録音から文字起こしと要約を作り、議事録の下書きを出してくれる道具です。メモの清書にかかる時間は大きく減らせますが、お客様との打ち合わせで使うなら、始める前に決めておくことがあります。1つ目は、録音することを相手に伝えて了承をもらうこと。2つ目は、使うサービスが入力した内容をAIの学習に使わないかを規約で確かめること。3つ目は、出てきた下書きのうち「決定事項・担当・期日」の3点を、必ず人が確かめることです。AIの要約は自然な文章でも、言い間違いや聞き違いをそのまま正しそうにまとめることがあるためです。

合同会社well coの藤田です。小さな会社の経営者とお話ししていると、「打ち合わせより、そのあとのメモの清書のほうが時間がかかる」という声をよく聞きます。夜に手書きのメモを見返して、何が決まったのか思い出しながら打ち直す。そんな作業は、議事録AIでかなり軽くできます。ただ、相手がお客様となると、録音や情報の扱いに気をつけたい点がいくつかあります。この記事では、始め方と確かめ方を手順でまとめます。

議事録AIで何ができて、何ができない?

議事録AIが得意なのは、「話した内容を文字にする」「長い話を短くまとめる」「決まったことや宿題を拾い出す」の3つです。一方で、その場の空気や、言葉にしなかった前提までは分かりません。「では、その方向で」のような言い方が、何に合意したのかまでは読み取れないこともあります。

区分具体的な作業人の関わり方
AIに任せやすい録音の文字起こし、話の要約、決定事項・宿題の候補の抜き出し出てきた下書きを読み、直す
AIだけでは足りない決定事項・担当・期日の確定、金額や数量の確認必ず人が確かめ、必要ならお客様に確認する
人が持つ合意したかどうかの判断、お客様への送付、記録の保管方法経営者や担当者が決める

個人情報保護委員会も、生成AI(文章などを自動で作るAI)の回答には不正確な内容が含まれることがあると注意喚起の中で触れています。議事録でも同じで、「AIが作ったから正しい」とは考えないのが基本です。

議事録AIを使う会社は増えている?

生成AIを業務に使う会社は、ここ1年で増えています。総務省の令和8年版 情報通信白書によると、2025年度の企業向け調査で、生成AIを「積極的に活用する」または「一定の条件のもとで利用する」方針の国内企業は68.9%でした。前年度の49.7%から上がっています。規模別では大企業が74.0%、中小企業が58.1%です。

「一定の条件のもとで」という言葉がポイントです。使うかどうかより、どんなルールで使うかが問われる段階に来ています。議事録はAIの使いどころとして分かりやすい分、ルールを決めずに始めてしまいがちです。

録音から議事録の下書きを作る手順は?

流れは5つのステップです。最初のうちは手間に感じるかもしれませんが、2〜3回やると型ができます。

1. 打ち合わせの前に、録音することを伝える

冒頭で「記録のために録音してもよいですか。議事録を作ったら録音は消します」のように一言伝え、了承をもらいます。目的と、録音をどうするかまで言えると、相手も安心しやすくなります。断られたら無理に録音せず、手書きのメモで進めます。オンライン会議なら、日程調整のメールで先に伝えておくのも一つの方法です。

2. 録音は聞き取りやすい環境で取る

文字起こしの精度は、録音の質で大きく変わります。にぎやかな喫茶店より、静かな会議室のほうが聞き違いは減ります。スマートフォンを机の真ん中に置く、話し手が重ならないようにするなど、小さな工夫で直す手間が減ります。

3. AIに「型」を指定して下書きを作らせる

「要約して」とだけ頼むと、読みにくい長文になりがちです。次のように、まとめる型を指定すると、あとで確かめやすくなります。

  • 打ち合わせの目的(1〜2行)
  • 決まったこと(箇条書き)
  • 次にやること(担当・期日つき)
  • 持ち越しになったこと・確認待ちのこと

4. 人が「決定事項・担当・期日」を確かめる

下書きができたら、ここがいちばん大事な工程です。確かめ方は次の章でくわしく説明します。

5. お客様に送る前に、言い回しと情報を整える

社内向けの議事録と、お客様に送る議事録は分けて考えます。社内の事情や、お客様の別の担当者についての話など、送らないほうがよい内容が含まれていないかを確かめます。送るときは「認識違いがあればお知らせください」と添えると、食い違いを早めに直せます。

人が必ず確かめるべき3点は?

議事録で一番困るのは、「決まったと思っていたことが決まっていなかった」「誰がやるのか曖昧だった」という食い違いです。AIの下書きを見るときは、全文を読み直すより、次の3点に絞って確かめると時間をかけずに済みます。

確かめる点AIで起きやすいずれ確かめ方
決定事項「検討します」が「決定」として書かれる。条件つきの合意が無条件になるその場で合意したかを自分の記憶と照らす。迷ったら「確認待ち」に移す
担当「こちらで」「うちが」が誰を指すか取り違える。話者の名前が入れ替わる自社とお客様、どちらの宿題かを1つずつ確かめる
期日「来週中」「月末」が具体的な日付に勝手に置きかわる。期日のない宿題が抜ける日付は会話の言い方のまま残すか、お客様に確かめてから書く

金額・数量・納期のような数字も、聞き違いが起きやすいところです。数字は録音の該当部分を聞き直すか、打ち合わせ中に取った手書きのメモと照らし合わせてください。決まったことと担当を記録に残す習慣は、営業管理の記録の型を整えるときにもそのまま役立ちます。

お客様の情報を入れるときの注意は?

お客様との打ち合わせの録音には、氏名や連絡先、取引の条件、ときには家族や健康の話まで含まれることがあります。これを外部のAIサービスに入れるときは、個人情報の扱いに注意が必要です。

個人情報保護委員会の生成AIサービスの利用に関する注意喚起(2023年6月)では、事業者に向けて次の点を挙げています。個人情報を含む内容を入力するときは、その情報の利用目的の範囲内かを十分に確かめること。また、本人の同意を得ずに個人データを入力し、それが回答を出す以外の目的で扱われると、個人情報保護法に違反するおそれがあること。そのため、サービスの提供事業者が入力データを機械学習に使わないことなどを十分に確かめるよう求めています。

使う前に確かめたいチェックリスト

  • 利用規約やプライバシーポリシーで、入力した音声や文章がAIの学習に使われないか
  • 学習に使わない設定がある場合、その設定がオンになっているか
  • 録音データや文字起こしが、どこに・いつまで保存されるか。自分で消せるか
  • 社内で誰がそのデータを見られるか
  • お客様との契約に、秘密を守る取り決め(秘密保持の条項)があり、外部サービスの利用が制限されていないか

入れないほうがよい情報は?

判断に迷う情報は、最初から入れないのがいちばん安全です。たとえば、健康状態や家族の事情のように特に慎重に扱いたい話、お客様から「ここだけの話」として聞いた内容、カード番号や口座番号などです。こうした話が出そうな打ち合わせは、録音を止めるか、AIに渡す前に該当部分を消します。名前を「A社」「Bさん」に置きかえてから要約させるのも有効です。

最初はどう始めるのが安全?

いきなりお客様との打ち合わせで使うより、まずは社内の打ち合わせで試すのがおすすめです。社内なら、録音の質や型の指定を試しながら、自社に合ったやり方を見つけられます。

  • 1〜2週目:社内の打ち合わせで録音と下書き作りを試し、型を決める
  • 3週目:使うサービスの規約を確かめ、「入れない情報」「確かめる人」を紙1枚に書く
  • 4週目以降:了承をもらえたお客様との打ち合わせから使い始める

決めたルールは、手順書にしておくとスタッフにも引き継げます。手順の残し方は業務マニュアルの作り方でまとめています。また、議事録以外にAIへ任せやすい作業を知りたい方は、小さな会社が最初にAIに任せたい事務作業もあわせてご覧ください。

まとめ

議事録AIは、録音から下書きを作り、清書の手間を減らしてくれる道具です。お客様との打ち合わせで使うなら、録音の前に一言断る、入力するサービスの規約を確かめる、下書きの決定事項・担当・期日を人が確かめる、の3つを守りましょう。まずは社内の打ち合わせで型を作ってから、お客様との場面に広げると安心です。

議事録だけでなく、問い合わせ返信やSNS投稿づくりなどの事務作業もまとめて軽くしたい方は、当社のディープラも選択肢の1つにしてみてください。AIチャット・議事録作成・OCR・SNS投稿作成などを1か所で使える、中小企業・個人事業主向けのプラットフォームです。どのサービスを使う場合でも、入力した情報の扱いは利用規約で確かめてからお使いください。

よくある質問

お客様との打ち合わせを録音するとき、断りは必要ですか?
相手との信頼関係のためにも、録音する前に目的を伝えて了承をもらうことをおすすめします。「議事録を作るため」「作成後は録音を消す」など、使い道と扱いまで伝えると相手も安心しやすくなります。断られたら録音はせず、手書きのメモで進めましょう。
議事録AIが作った下書きは、そのままお客様に送ってもよいですか?
おすすめしません。AIの要約には聞き違いや取り違えが含まれることがあります。少なくとも決定事項・担当・期日の3点と、金額などの数字は人が確かめてから送ってください。
お客様の名前や会社名をAIに入力しても大丈夫ですか?
個人情報保護委員会は、個人情報を含む内容を入力する場合は利用目的の範囲内かを確かめ、提供事業者が入力データを機械学習に使わないことなどを十分に確かめるよう呼びかけています。迷うときは「A社」「Bさん」などに置きかえてから入力しましょう。
録音データは、議事録ができたあとも残しておくべきですか?
残す目的がなければ、議事録を確定させた後に消すほうが情報漏れのリスクを減らせます。残す場合は、保存する場所・期間・見られる人を決めておきましょう。お客様に「消します」と伝えた場合は、その約束を守ってください。
1人で事業をしていても議事録AIは役に立ちますか?
役に立ちます。1人で打ち合わせから清書まで行う場合ほど、清書の時間がそのまま本業の時間を圧迫します。決まったことと宿題を短くまとめる型を作るだけでも、打ち合わせ後の作業はかなり軽くなります。

出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」/総務省「令和8年版 情報通信白書」

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