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戦略顧問とは?コンサルとの違い・頼める範囲・向いている会社

2026.10.30

文責:藤田 泰仁

戦略顧問は、経営者のそばで継続的に「何を・どの順番でやるか」を一緒に考える外部の専門家です。コンサルが決まったテーマをプロジェクトとして解決するのに対し、顧問は月単位で伴走し、課題が変わっても相談先が変わらないのが特徴です。課題が一つに絞れず、相談相手がいない小規模事業者に向いています。一方、テーマがはっきりしている、時間を確保できない、丸投げしたい場合は向きません。頼む前に課題と数字を書き出し、範囲・頻度・期間・成果の測り方を契約で決めておきましょう。

戦略顧問は「継続して一緒に考える相手」、コンサルは「テーマを解く専門家」

戦略顧問とは、経営者のそばで継続的に事業の方向と優先順位を一緒に考える外部の専門家です。月に数回の打ち合わせなどを通じて、集客・商品・人・お金・業務の課題をまとめて見渡し、「今どれから手をつけるか」を決める手伝いをします。コンサル(コンサルタント)は、新規事業の立ち上げや業務の見直しなど、決まったテーマを期間を区切って解決する形が一般的です。ただし呼び名に法律上の決まりはなく、境目はあいまいです。名前ではなく、関わる期間・範囲・実行への関わり方で見分けると判断を誤りにくくなります。課題が一つに絞れず、相談できる相手がいない小規模事業者ほど、顧問という形が合いやすいといえます。

合同会社well coの藤田です。事業戦略顧問として小規模事業者の方と一緒に事業を整理していると、「外の専門家に相談したいけれど、コンサルと顧問の違いも、何を頼めるのかも分からない」という声をよく聞きます。この記事では、戦略顧問の意味、コンサルとの違い、頼める範囲と頼めないこと、向いている会社・向いていない会社を順に整理します。頼む前に自分でできる準備もまとめました。

戦略顧問とはどんな役割か?

戦略顧問は、経営者が決めるための「考える相手」です。決めるのはあくまで経営者で、顧問は判断の材料をそろえ、選択肢と優先順位を一緒に整理します。具体的には次のような役割を担います。

  • 事業の現状を、数字とお客様の動きから一緒に把握する
  • 目指す姿(売上だけでなく、どんなお客様にどう役立ちたいか)を言葉にする
  • 課題を並べ、どれから手をつけるか優先順位を決める
  • 決めた打ち手が進んでいるかを定期的に振り返り、次の一手を考える

なお「顧問」は、会社法で定められた役職ではありません。会社法(e-Gov法令検索)の第329条では、株主総会で選ぶ「役員」を取締役・会計参与・監査役と定めています。外部の顧問は、多くの場合、会社と業務委託の契約を結んで関わる立場です。そのため、何をどこまでしてもらえるかは、肩書きではなく契約の中身で決まります。

戦略顧問とコンサルの違いは?

いちばん大きな違いは、関わる期間とテーマの決め方です。コンサルは「このテーマを、この期間で」と範囲を決めて入ることが多く、顧問は期間を区切らずに伴走し、その時々の課題に一緒に向き合います。一般的な傾向を表にまとめました。

比べる点戦略顧問コンサル(プロジェクト型)
関わり方月単位で継続して伴走するテーマごとに期間を区切って入る
テーマその時々の経営課題全体(途中で変わってよい)最初に決めたテーマ(例:新規事業・業務の見直し)
主な成果優先順位の整理と、決めたことが進む状態報告書・計画書・仕組みなどの成果物
料金のかかり方月ごとの定額が多いプロジェクトごとの見積もりが多い
向いている悩み何から手をつけるべきか分からないやるべきテーマははっきりしている

あくまで傾向で、実際には「顧問契約の中で、特定のテーマを集中して進める」「コンサルのプロジェクト後に顧問として残る」といった組み合わせもよくあります。契約の形としては、仕事の完成を約束する「請負」ではなく、事務を行うことを約束する「準委任」として結ばれることが一般的です(民法(e-Gov法令検索)第643条・第656条)。成果物の完成を約束する契約かどうかで、何を期待できるかが変わるので、契約書で確かめておきましょう。

戦略顧問には何を頼めるのか?

頼めるのは「全体を見て、順番を決め、進める」ところ

戦略顧問に頼めるのは、事業の課題を全体で見て、打ち手の順番を決め、実行が止まらないように伴走するところです。小規模事業者の課題は、集客・商品・価格・人・お金・業務がつながっています。たとえば「集客を増やしたい」という相談でも、話を聞くと、商品の伝え方や予約までの流れ、人手の足りなさが本当の原因ということは現場でよくあります。一つのテーマだけを見ていると、こうしたつながりを見落としがちです。顧問は、個別の打ち手の前に「どこが詰まっているか」を一緒に見つけ、限られた時間とお金をどこに使うかを決めます。どこまで実務に入るかは顧問ごと・契約ごとに違うので、事前に確かめることが大切です。

相談できるテーマの例を挙げます。顧問によって得意分野は違いますが、小規模事業者からの相談が多いのは次のような内容です。

  • 事業戦略:新しい事業の全体設計、今の事業の見直し、優先順位づけ
  • 商品設計:誰に何をいくらで売るか、メニューやプランの組み方
  • 集客:SEO(検索で見つけてもらう対策)、MEO(Googleマップで見つけてもらう対策)、SNS、ホームページやランディングページの改善、チラシや紹介など
  • 営業:営業の流れづくり、商談や見込み客の記録(営業管理)
  • お金:補助金や融資を検討するときの事業計画の整理
  • 人:採用や育成の進め方、仕事の任せ方
  • 業務改善:手間のかかる作業の洗い出し、ITツールやAIの使いどころ

集客の相談が実は導線の問題だった、というケースの見つけ方は「SEOより大事なことは?問い合わせが増えない会社の「詰まり」の見つけ方」で詳しく紹介しています。

戦略顧問に頼めないことは?

法律で資格者にしか認められていない仕事は、資格を持たない顧問には頼めません。たとえば、税務申告の代理や税務書類の作成は税理士の業務です(税理士法(e-Gov法令検索)第52条)。法律相談や契約トラブルの代理は弁護士、社会保険の手続きは社会保険労務士、登記は司法書士の領域です。戦略顧問の役割は、こうした専門家に「何を相談すべきか」を整理し、つなぐところまでと考えておくとよいでしょう。

戦略顧問が向いている会社・向いていない会社は?

向いているのは、課題が一つに絞れず、社内に経営の相談相手がいない会社です。反対に、やるべきことがはっきりしている会社や、打ち合わせの時間をとれない会社には、ほかの選択肢のほうが合うことがあります。

向いている会社向いていない会社
集客・商品・人など課題が複数あり、どれから手をつけるか迷っているやるべきテーマが一つに決まっている(→ その分野の専門家やコンサルが合う)
立ち上げから軌道に乗るまで時間がかかっている、売上が少しずつ下がり始めている月に1〜2時間の打ち合わせも確保できない
新しい事業を始めるので、全体の設計から相談したい考えることも含めてすべて丸投げしたい
経営者が一人で判断していて、壁打ち(考えを話して整理する)の相手がほしい必要なのは作業の手(人手)だけ
外部の意見を聞いたうえで、最後は自分で決めたいまず無料の窓口で一度相談してみたい段階

相談相手がいるかどうかは、経営の進め方にも関わります。中小企業庁の「2020年版 小規模企業白書」第3部第2章第4節では、従業員規模が大きいほど日常の相談相手を持つ傾向があり、雇用のない事業者では製造業で約5割、非製造業で約4割が日常の相談相手を持っていないと分析されています。また、日常の相談相手がいる事業者のほうが、現状の把握や経営計画の策定・運用を十分に行えている割合が高いとされています。

戦略顧問に頼む前に、自分でできる準備は?

外部に相談するかどうかに関わらず、次の4つを書き出しておくと、課題の整理がぐっと進みます。顧問に頼む場合も、最初の打ち合わせから中身の濃い話ができます。

  1. 困っていることを全部書き出す:集客・商品・人・お金・業務・自分の時間などに分けて、思いつくまま並べる
  2. 数字を3つだけ確認する:直近の月の売上、新規のお客様の数、リピートの割合(分かる範囲でよい)
  3. 目指す姿を一言で書く:売上の目標だけでなく、「どんなお客様に、どう役立ちたいか」も書く
  4. 使える時間とお金を決める:週に何時間、月にいくらまでなら改善に使えるか

書き出した課題に「効果の大きさ」と「手間の小ささ」で印をつけると、自分なりの優先順位が見えてきます。ここまでは一人でもできます。難しいのは、課題同士のつながりを見抜くことと、決めたことを日々の忙しさの中で続けることです。外部の目を入れる価値が大きいのは、この部分です。業務の手間から順に減らす考え方は「「時間がない」を減らす業務改善の進め方|手間の大きい作業から順に」も参考にしてください。

無料の公的窓口とはどう使い分ける?

まず無料で相談してみたいなら、公的な窓口から始めるのも一つの方法です。国が各都道府県に設置しているよろず支援拠点では、中小企業・小規模事業者や創業予定の方の経営相談に、無料・回数制限なしで応じています。売上を増やしたい、経営を改善したいといった幅広い相談が対象です。

公的窓口は、課題の入口を整理したり、使える制度を知ったりするのに向いています。一方で、同じ担当者に毎月の数字を見てもらいながら、実行まで細かく伴走してもらいたい場合は、民間の顧問のほうが合うことがあります。「まず公的窓口で方向を確かめ、継続した伴走が必要になったら顧問を検討する」という順番でも構いません。

戦略顧問と契約する前に確かめたいことは?

契約前に「範囲・頻度・期間・成果の測り方」の4点を書面で決めておくと、期待とのずれを防げます。確認しておきたい項目は次のとおりです。

  • 対応範囲:助言だけか、資料づくりや実務(集客の運用など)まで入るか
  • 頻度と連絡方法:打ち合わせの回数、打ち合わせ以外のチャットやメールでの相談をどこまで受けるか
  • 期間と解約:最低契約期間、解約の申し出の期限
  • 成果の測り方:何が変われば前進とみなすか(売上・新規客数・作業時間など)
  • 得意分野:自社の業種や課題に近い支援をしてきたか、どの分野が専門か

個人の専門家に顧問を頼む場合は、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の対象になることがあります。公正取引委員会のフリーランス法特設サイトでは、発注する側は業務を頼んだら直ちに、業務の内容・報酬の額・支払期日などの取引条件を書面またはメールなどで明示する必要があると説明されています。口約束で始めず、条件を文書に残しましょう。

まとめ

戦略顧問は、経営者のそばで継続的に事業の方向と優先順位を一緒に考える外部の専門家です。決まったテーマを期間を区切って解くコンサルとは、関わる期間とテーマの決め方が違います。課題が一つに絞れない、相談相手がいない、新しい事業の全体を設計したいという会社に向いています。頼む前に課題と数字を書き出し、契約では範囲・頻度・期間・成果の測り方をはっきりさせておきましょう。

書き出してみたものの、どれから手をつけるか決めきれない。決めたことが日々の忙しさで止まってしまう。そんなときは、外の目を入れて一緒に整理するのが近道です。当社の事業戦略顧問では、事業戦略・集客・業務改善をまとめて見渡し、優先順位の整理から実行まで経営者と一緒に進めています。まずは今の課題を話してみるところから、気軽にご相談ください。

よくある質問

戦略顧問とコンサルの違いを一言でいうと?
戦略顧問は期間を区切らずに伴走し、その時々の経営課題を一緒に考える相手です。コンサルは、決まったテーマを期間を区切って解決する形が一般的です。ただし呼び名に法律上の決まりはないため、契約の範囲と関わり方で判断しましょう。
小規模事業者でも戦略顧問を頼む意味はありますか?
あります。小規模事業者は経営者が一人で判断することが多く、集客・商品・人・お金の課題がつながっています。全体を見て優先順位を決める相手がいると、限られた時間とお金を使う先を決めやすくなります。
戦略顧問に税金や法律の相談もできますか?
税務申告の代理や税務書類の作成は税理士、法律事件の代理は弁護士など、資格者にしかできない業務があります。戦略顧問には、何をどの専門家に相談すべきかの整理を頼むのが現実的です。
無料で相談できる窓口はありますか?
国が各都道府県に設置しているよろず支援拠点では、中小企業・小規模事業者や創業予定の方が、経営に関する相談を無料・回数制限なしでできます。まず方向を確かめたい段階なら、公的窓口から始めるのも一つの方法です。

出典:会社法(e-Gov法令検索)/民法(e-Gov法令検索)/税理士法(e-Gov法令検索)/中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」第3部第2章第4節 日常の相談相手の活用/よろず支援拠点 全国本部/公正取引委員会 フリーランス法特設サイト

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