お問い合わせ

ホームページ制作の販売代理店から営業が来たら|契約前に確かめる5点

2026.11.04

文責:藤田 泰仁

ホームページ制作の販売代理店から営業が来たら、その場で決めず、契約の相手・総額と中途解約・ドメインの名義・著作権と解約後のデータ・補助金や上位表示の説明の根拠の5点を書面で確かめてください。事業者どうしの契約では原則としてクーリング・オフが使えないため、サインする前の確認が自社を守るいちばん確かな方法です。

販売代理店の営業は「誰と、いくらで、何年」の契約かを先に確かめる

ホームページ制作の販売代理店とは、制作会社やリース会社などのサービスを代わりに売る会社のことで、実際の契約相手は代理店ではなく、制作会社やリース会社になることがあります。公益社団法人リース事業協会のパンフレット「小口リースを安心してご活用いただくために」(平成24年12月発行)は、小口リースの対象に「ホームページソフト」を挙げ、販売店の説明によるトラブルに注意するよう呼びかけています。同協会の資料(2024年3月13日公表)では、2023年4〜12月に会員のリース会社へ寄せられた小口リースの苦情は72件でした。契約前には、①契約の相手、②総額と中途解約、③ドメインとサーバーの名義、④著作権と解約後のデータ、⑤補助金や上位表示の説明の根拠、の5点を書面で確かめましょう。

販売代理店の営業で、契約前に確かめる5点は?

確かめる点は5つです。それぞれ、確認しないと何が起きやすいかと、最初にできる対策を表にまとめました。

確かめる点確認しないと起きやすいこと最初の対策
1. 契約の相手代理店に解約を伝えても、リース会社やクレジット会社への支払いが続く申込書・契約書に書かれた会社名を確認する
2. 総額と中途解約月額は安く見えても、期間をかけると総額が大きい。途中でやめられない「月額×期間」の総額と、中途解約の条件を書面でもらう
3. ドメインとサーバーの名義解約するとドメイン(Webの住所)を使えなくなり、名刺やチラシのURLが無効になるドメインの登録者を自社にできるか聞く
4. 著作権と解約後のデータ解約後にページの文章や写真を別の会社へ移せない著作権の扱いと、データの受け渡しを契約書に書いてもらう
5. 補助金・上位表示の説明の根拠「実質無料」「必ず上位」に乗ると、補助金の返還や期待外れにつながる公式の公募要領やルールのどこに書いてあるかを聞く

ホームページ制作の販売代理店と制作会社は何が違う?

違いは3点です。「誰が作るか」「誰と契約するか」「解約や修正の窓口が誰か」が変わります。販売代理店そのものが悪いわけではありません。地域に営業担当がいて相談しやすい、という良さもあります。ただ、窓口と契約相手が別の会社になりやすいので、仕組みを知ってから話を聞くと判断がぶれにくくなります。

比べる点制作会社に直接頼む販売代理店から買うリース・クレジットを使う場合
誰が作るか契約した制作会社代理店の提携先(制作会社)販売店や提携先の制作会社
契約の相手制作会社制作会社、または代理店リース会社・クレジット会社(支払い)と販売店(商品)
解約・修正の窓口制作会社代理店と制作会社に分かれることがある支払いはリース会社、修正は販売店や制作会社に分かれる

「代理店」には、商品を仕入れて売る「販売店」と、契約の取り次ぎだけをする「取次店」など、いくつかの形があります。呼び方は会社によって違うため、名刺の肩書きより「申込書に書かれている会社名」を見るのが確実です。代理店の形の違いは「営業代行と代理店の違いは?小さな会社が外の営業力を借りる前に比べる5点」でも整理しています。

1. 契約の相手は代理店か、制作会社か、リース会社か?

契約の相手は、申込書や契約書に書かれた会社です。営業に来た代理店とは限りません。ここを取り違えると、「代理店に解約を伝えたのに、支払いが止まらない」ということが起きます。

とくに注意したいのがリースです。リースとは、リース会社が商品を買い、それを月々の料金で貸す仕組みのことです。リース事業協会のパンフレットによると、小口リースでは、お客様はリース会社と原則として直接会わず、販売店と商談をします。申し込みも販売店を通して行い、リース会社は後から電話で契約内容を確認します。つまり、話をしているのは販売店でも、お金の契約はリース会社と結ぶ形です。同じパンフレットは、悪質な販売店がリースと偽ってローンやクレジットの契約を結ばせるケースもある、とも注意しています。

  • 申込書の一番上や署名欄の近くにある会社名を確認する
  • リースの場合は「リース物件名」「月額リース料」「リース期間」の3つを見る
  • リース会社から確認の電話が来たら、聞いていた説明と違う点をその場で伝える

2. 総額はいくらで、途中でやめられるか?

月額だけで判断せず、「月額×契約期間」の総額と、途中でやめるときの条件を必ず書面で確かめます。リースの場合、途中でやめられないのが原則です。

リース事業協会のパンフレットは、リース契約の特徴として「中途解約できません」と明記しています。お客様とリース会社が合意して解約する場合も、残りの料金(残債務)を支払うことになります。また、リース会社は保守や点検をしないため、保守が必要なら販売店と別に保守契約を結ぶよう勧めています。ホームページに置き換えると、「公開後の更新や修正は誰が、いくらでやるのか」が別の契約になる可能性がある、ということです。

現場でよくあるのは、「月々これだけなら」と契約したものの、数年後に作り直したくなって初めて、残りの期間分の支払いが残ると知るケースです。見積書をもらったら、次の項目を確認しましょう。

  • 初期費用・月額・契約期間と、期間中に払う総額
  • 公開後の修正や更新の範囲(月に何回、どこまでが料金に含まれるか)
  • 中途解約ができるか、できる場合の費用
  • 契約期間が終わったあとの扱い(自動更新か、再契約か)

3. ドメインとサーバーの名義は自社になるか?

ドメインは、できるだけ自社の名義で登録してもらうよう頼みましょう。ドメインとは「example.co.jp」のようなWeb上の住所のことで、サーバーはホームページのデータを置いておく場所のことです。

ドメインの名義が代理店や制作会社になっていると、解約したときにそのドメインを使い続けられないことがあります。名刺・チラシ・Googleマップ・SNSのプロフィールに載せたURLが、すべて使えなくなるおそれがあります。メールアドレスも同じドメインを使っていれば、メールにも影響します。サーバーは制作会社の契約のままでもかまいませんが、解約するときにデータを移せるかは確かめておきたい点です。

  • ドメインの登録者(名義)を誰にするか
  • 解約するとき、ドメインを自社の管理に移せるか。費用はかかるか
  • メールアドレスを同じドメインで使う場合、解約後どうなるか

4. 作ったページの著作権と、解約後のデータはどうなるか?

契約書に書いていなければ、ページのデザインや文章の著作権は、原則として作った側に残ります。解約後に別の会社でホームページを引き継ぐなら、著作権の扱いとデータの受け渡しを契約前に決めておく必要があります。

著作権とは、文章・写真・デザインなどの作品を、作った人が自由に使える権利のことです。著作権法では、著作権は作品を作った時点で自動的に生まれ、登録などの手続きはいりません(第17条第2項)。著作権は譲り渡すこともできますが(第61条第1項)、契約で特に書いておかないと、作品を作り変える権利などは譲った側に残ると推定されます(第61条第2項)。そのため、「お金を払ったから自社のもの」とは限りません。

  • 完成したページの著作権を自社に移すのか、使う許可だけなのか
  • 自社で撮った写真や書いた文章を、解約後も自由に使えるか
  • 解約するとき、ページのデータ(文章・画像・デザインのファイル)を受け取れるか

5. 「補助金で実質無料」「検索で上位に」の説明に根拠はあるか?

「実質無料」「必ず上位に表示」という説明が出たら、その場で決めず、公式の資料のどこに書いてあるかを確かめてください。補助金は、ルールに反した使い方をすると、受け取った側が返還を求められることがあります。

たとえば、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の事務局は、不正行為についての案内ページで、ITツールを実質無償で提供したり減額したりする販売行為、補助を受ける本人以外が申請手続きを代わりに行う行為などを不正の例として挙げています。不正と判断されると、交付決定の取消や補助金の返還請求の対象になります(2026年11月4日確認)。補助金の対象になるか、上限額がいくらかは制度ごとに違うので、営業の説明ではなく、必ず公募要領(募集のルールを書いた公式資料)で確認しましょう。

地域によっては、市が独自にホームページ制作の補助を出していることもあります。西宮市の制度は「西宮市のホームページ補助金【2026年度】対象・上限額・申請の注意点」で整理しています。

検索順位も同じです。Googleの検索結果の順位は、制作会社や代理店が約束できるものではありません。また、検索で上位に出ても、問い合わせや予約が増えるとは限りません。順位より先に何を確かめるべきかは「問い合わせにつながるSEOの前に確かめる3段階|問い合わせが増えない「詰まり」の見つけ方」で紹介しています。

ホームページの契約で、クーリング・オフは使える?

会社や個人事業主が事業のために結ぶ契約では、原則としてクーリング・オフは使えません。クーリング・オフとは、訪問販売などで契約したあと、一定の期間内なら無条件で取りやめられる制度のことです。

リース事業協会のパンフレットも、「事業者間の取引はクーリングオフ制度が適用されません」として、契約書にサインする前に内容をしっかり確認するよう呼びかけています。「あとで取り消せばいい」と考えず、その場で決めないことがいちばんの対策です。すでに契約してしまい、説明と違うと感じた場合は、まず申込書に書かれたリース会社や契約先に連絡し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。

営業の場でそのまま使える確認の質問は?

5点を、営業担当者に聞く質問の形にまとめました。答えは口頭で済ませず、見積書や契約書に書いてもらうのがポイントです。

確かめる点営業担当者に聞くこと注意したい答え
契約の相手申込書の契約相手はどの会社ですか。リースやクレジットですか会社名をはっきり言わない。リースなのに「レンタルのようなもの」と説明する
総額と中途解約期間中に払う総額はいくらですか。途中でやめるといくらかかりますか月額しか言わない。解約条件が書面で出てこない
ドメインの名義ドメインは当社の名義になりますか。解約後も使えますか「こちらで管理するので大丈夫」だけで、名義を答えない
著作権とデータ解約するとき、ページのデータと著作権はどうなりますか解約後は何も渡せない、と言われる
補助金・上位表示その説明は公募要領やルールのどこに書いてありますか「実質無料」「必ず上位」と言い切り、根拠の資料を示さない

業者を比べる前に、自社で決めておきたいことは?

業者を比べる前に、「ホームページで何を増やしたいか」を自社で決めておくと、提案の良し悪しを判断しやすくなります。目的が決まっていないと、営業の提案がそのまま自社の目的になってしまいがちです。

  1. 何を増やしたいか:問い合わせ、予約、採用の応募、信頼の確認など
  2. 誰に見てほしいか:新しいお客様か、紹介で来る人が確かめに来るのか
  3. 何の数字で判断するか:問い合わせ数や予約数など、毎月同じ数字を記録する
  4. ホームページ以外との役割分担:Googleマップ、SNS、チラシとどうつなぐか

現場でよくあるのは、ホームページを新しくすれば集客が良くなると考えて契約したものの、実は詰まっていたのは予約の受け方や、Googleマップの情報のほうだった、というケースです。同じように外部の業者から営業が来やすいGoogleマップの運用代行は、「MEOコンサルティングの契約前に確認したい5項目|費用・範囲・解約」で確認点をまとめています。

まとめ

ホームページ制作の販売代理店は、制作会社やリース会社のサービスを代わりに売る会社で、窓口と契約相手が別の会社になることがあります。営業が来たら、契約の相手、総額と中途解約、ドメインとサーバーの名義、著作権と解約後のデータ、補助金や上位表示の説明の根拠の5点を、書面で確かめてから決めましょう。事業者どうしの契約では原則としてクーリング・オフが使えないため、その場で決めないことが大切です。

とはいえ、「そもそも今、ホームページにお金をかけるべきか」「SNSやGoogleマップ、営業のやり方を先に見直すべきか」は、会社の状況によって答えが変わります。限られたお金と時間をどこに使うかの優先順位づけは、外から一緒に考える相手がいると整理しやすくなります。当社の事業戦略顧問では、ホームページを含む集客の見直しから事業全体の戦略づくり、実行まで、経営者の方と一緒に進めています。営業を受けて迷ったときの考えの整理にも、気軽にご相談ください。

よくある質問

販売代理店からホームページを買うのは避けたほうがよいですか?
代理店だから避ける必要はありません。地域に担当者がいて相談しやすいなどの良さもあります。大切なのは、契約の相手・総額と中途解約・ドメインの名義・著作権と解約後のデータ・説明の根拠の5点を、契約前に書面で確かめることです。
ホームページのリース契約は途中で解約できますか?
原則としてできません。リース事業協会のパンフレットでは、リース契約は中途解約できず、合意で解約する場合も残りのリース料(残債務)を支払う必要があると説明されています。
契約したあとで説明と違うと気づいたら、クーリング・オフできますか?
事業者どうしの契約では、原則としてクーリング・オフは使えません。まず申込書に書かれた契約先やリース会社に連絡して説明と違う点を伝え、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。
ドメインの名義が制作会社になっていました。どうすればよいですか?
まず契約先に、名義を自社に移せるか、移す費用と手順を確認しましょう。解約後もドメインを使い続けられるかで、名刺やチラシのURL、メールアドレスへの影響が変わります。

出典:公益社団法人リース事業協会「小口リースを安心してご活用いただくために」(平成24年12月発行)/公益社団法人リース事業協会「小口リース取引に係る自主規制規則の実施状況<2023年10月~12月>」(2024年3月13日)/e-Gov法令検索「著作権法」/デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)「不正行為について」(2026年11月4日確認)

CONTACT

経営者の挑戦を応援します

まずはお気軽にご相談ください。