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税理士が顧問料以外で収益をつくるには?顧問先から始める4つの柱

2026.11.04

文責:藤田 泰仁

税理士が顧問料以外で収益をつくるなら、顧問先がすでに抱えている「経営計画・資金調達・事業承継・業務の仕組み化」の悩みを、顧問料と分けた有料サービスにするのが近道です。4つすべてを一度に始めず、相談件数が多く、繁忙期を避けて回せる柱を1つ選ぶところから始めましょう。

税理士が顧問料以外で収益をつくるなら、顧問先の「経営の悩み」を有料サービスにする

税理士が顧問料以外で収益をつくる近道は、顧問先がすでに抱えている経営の悩みを、顧問料とは別の有料サービスとして形にすることです。柱になりやすいのは「経営計画と月次の経営会議」「資金調達の計画づくり」「事業承継の準備」「バックオフィスの仕組み化」の4つです。たとえば事業承継では、帝国データバンクの「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」(2025年11月21日発表)によると、小規模企業の後継者不在率は57.3%でした。こうした悩みは、決算書と経営者の両方をよく知る顧問税理士に相談が集まりやすい領域です。新しいお客様を探す前に、今の顧問先から始めるほうが、信頼関係と情報がそろっている分だけ立ち上げやすくなります。

顧問料以外の4つの柱は何が違う?

4つの柱の違いは「どんな悩みに応えるか」「続く期間」「料金の分け方」の3点です。まず全体を表で比べます。

柱顧問先のよくある悩み提供の形の例続く期間の傾向料金の分け方の例
1. 経営計画・月次の経営会議数字は見ているが、次に何をすればよいか決められない年間計画づくり+月1回の数字の振り返り継続しやすい顧問料とは別の月額
2. 資金調達の計画づくり融資や補助金を使いたいが、計画書が書けない事業計画・資金繰り表の作成支援案件ごと1件ごとの定額や成功報酬
3. 事業承継の準備いつか継がせたいが、何から手をつければよいか分からない承継までの段取り表づくり、関係者との話し合いの準備数年単位準備段階ごとの定額
4. バックオフィスの仕組み化経理や請求が社長頼みで、時間が取られているクラウド会計の導入、書類の流れの整理、手順書づくり数か月で区切りやすい導入プロジェクトとして一括

表の「続く期間」は、毎月の収益になるか、単発の収益になるかの目安です。月額で続く柱と、案件ごとの柱を組み合わせると、事務所の売上の波をならしやすくなります。

顧問料以外の収益とは?顧問業務との線引きはどこか

ここでいう顧問料以外の収益とは、毎月の記帳・申告・税務相談とは別に、中身と料金を分けて提供するサービスから得る収益のことです。国税庁の税理士制度に関するQ&A(税理士業務とは)では、税理士の独占業務は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つと説明され、これに加えて財務書類の作成や会計帳簿の記帳代行などの会計業務も行えるとされています。

線引きで大事なのは、顧問業務の延長で無償で応えている相談を、そのままにしないことです。「売上を伸ばしたい」「人が採れない」といった経営の相談は、現場でもよく顧問税理士に寄せられます。これを打ち合わせのついでに答え続けると、時間ばかりかかって収益にはつながりません。どこまでが顧問料の範囲で、どこからが別のサービスかを、先に決めておきましょう。

柱1:経営計画と月次の経営会議は、どう収益になる?

経営計画と月次の経営会議は、顧問先と毎月数字を見ながら「次に何をするか」まで一緒に決めるサービスで、月額で続く収益になりやすい柱です。毎月の試算表(その月までの数字をまとめた表)をすでに作っている税理士なら、いちばん始めやすい柱でもあります。

予実管理とは?

予実管理とは、年の初めに立てた売上や経費の計画(予算)と、実際の数字(実績)を毎月くらべ、ずれの理由と打ち手を考えることです。顧問業務の試算表は「結果の報告」ですが、予実管理は「次の手を決める場」になる点が違います。

  • 年の初めに、顧問先と一緒に売上・経費・利益の年間計画を立てる
  • 毎月、計画と実績のずれを1枚の資料にまとめる
  • ずれの理由と、翌月に試すことを1〜2個決める

毎月の資料は、作り込みすぎないほうが続きます。見る数字を絞った1枚の形については、小規模事業者の月次レポートはA4一枚でいい|作り方と打ち手の決め方で詳しく紹介しています。

柱2:融資や補助金の計画づくりは、どう収益になる?

資金調達の計画づくりは、融資や補助金の申請に必要な事業計画書や資金繰り表の作成を支援するサービスで、案件ごとの収益になる柱です。決算書と資金の動きを日ごろから見ている顧問税理士は、計画の数字の根拠を示しやすい立場にあります。

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは?

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業の経営相談や計画づくりを支援する専門家として、国の認定を受けた機関のことです。中小機構のJ-Net21の解説「経営改善計画策定支援事業とは」では、返済猶予などの金融支援を必要とする中小企業・小規模事業者に対し、認定支援機関が経営改善計画の策定を支援し、その費用の一部を国の事業で補助する仕組みが紹介されています。補助の割合や上限は年度や枠によって変わるため、使うときは中小企業庁や中小企業活性化協議会の最新の案内で確認してください。

  • 顧問先の中で、融資や補助金の相談が出ている会社を書き出す
  • 計画書づくりのどこまでを支援するか(数字だけか、文章もか)を決める
  • 申請が通らなかった場合の料金の扱いを、契約の前に決めておく

融資と補助金は、お金が入る時期も返済の有無も違います。顧問先に説明するときの整理には、開業1〜3年目の資金調達|創業融資と補助金の違いと使い分け方も参考になります。

柱3:事業承継の準備支援は、どう収益になる?

事業承継の準備支援は、経営者が「いつ・誰に・どう継ぐか」を決めて動き出すまでの段取りを一緒に組むサービスで、数年単位で続く柱です。帝国データバンクの「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」(2025年11月21日発表)では、全国の後継者不在率は50.1%、小規模企業では57.3%でした。

承継は株式や相続税の話と切り離せないため、会社の数字を長く見てきた顧問税理士に最初の相談が来やすい分野です。一方で、親族や従業員との話し合い、取引先への伝え方など、税務の外の話も多く含みます。どこまでを自分で受け、どこから弁護士や金融機関など他の専門家につなぐかを決めておくと、サービスの範囲がはっきりします。

  • 経営者の年齢と、後継者の候補がいるかを顧問先ごとに整理する
  • 承継までの段取りを、年ごとの表にして経営者と共有する
  • 税務以外の論点は、つなぐ先の専門家をあらかじめ決めておく

柱4:バックオフィスの仕組み化は、どう収益になる?

バックオフィスの仕組み化は、経理・請求・書類の受け渡しといった事務の流れを整え、顧問先の手間を減らすサービスで、数か月で区切れるプロジェクト型の柱です。バックオフィスとは、売上を直接生む仕事を支える、経理・総務・事務などの裏方の仕事のことです。

現場でよく聞くのは「時間がない」という悩みで、その原因が、社長が自分で領収書を整理したり請求書を作ったりしていることにある場合も少なくありません。記帳の流れを知る税理士は、どこで手間が生まれているかを見つけやすい立場です。クラウド会計の導入や、書類の集め方の見直し、作業の手順書づくりまでをひとまとめにすると、顧問先にも成果が見えやすくなります。

手順書は、作ったあとに使われるかどうかが分かれ目です。誰でも同じように作業できる形の作り方は、業務マニュアルの作り方|「あの人しか分からない」をなくす小さな会社の手順で解説しています。

4つの柱のうち、どれから始めればよい?

最初の1つは、「相談の件数」「自分たちが根拠を持って答えられるか」「繁忙期に回せるか」の3つの基準で選びます。4つすべてを同時に始めると、どれも中途半端になりやすいためです。

  1. 相談の件数:ここ半年から1年で、顧問先から実際に多く受けた相談はどれか
  2. 答えられるか:事務所の中に、その分野で根拠を持って答えられる人がいるか
  3. 回せるか:確定申告や決算が集中する時期にも、約束した回数を守れるか

3つがそろう柱が見つかったら、少数の顧問先で試すところから始めます。対象の絞り方・値決め・顧問先への案内の順番は、顧問契約だけで伸び悩む士業へ|新サービスの始め方を3つの順番で解説で手順として詳しくまとめています。

顧問料以外のサービスを始めるときのリスクと最初の対策は?

起きやすいのは「無償の延長になる」「範囲があいまいになる」「名義の確認が漏れる」の3つで、どれも始める前の取り決めで防げます。

起きやすいこと何が起きるか最初の対策
顧問料の中に含めてしまう手間は増えるのに収益が増えない顧問契約とは別の契約にし、中身と料金を分けて示す
提供する範囲があいまい「そこまでやってくれると思った」とすれ違う回数・期間・最後に渡すものを書面で決める
税理士法人の業務範囲の確認漏れ法人として行えない業務を受けてしまうおそれ提供する名義と業務範囲を、税理士会などに確認してから決める
繁忙期に約束が守れない信頼を落とし、顧問契約にも響く繁忙期の回数を減らすなど、年間の予定を先に組む

税理士法人の場合、国税庁の税理士制度に関するQ&A(税理士法人)では、法人が行える業務の範囲は税理士法で定められており、それ以外の業務は行えないと説明されています。新しいサービスを法人で受けるか、別の名義で受けるかは、早めに確認しておきましょう。

まとめ:顧問料以外の収益は、顧問先の悩みから1つ選んで始める

税理士が顧問料以外で収益をつくるには、顧問先の経営の悩みを、顧問料と分けた有料サービスにするのが近道です。柱は「経営計画と月次の経営会議」「資金調達の計画づくり」「事業承継の準備」「バックオフィスの仕組み化」の4つ。相談の件数・答えられるか・繁忙期に回せるかの3つの基準で1つ選び、少数の顧問先で試しながら形にしていきます。

ただ、どの柱を選ぶか、事務所がこれから誰にどう貢献していきたいかとどうつなげるかといった優先順位づけは、日々の顧問業務と並行してひとりで決めるのが難しい部分です。当社の事業戦略顧問では、商品設計や集客、業務改善まで含めて経営者と一緒に全体を整理し、実行まで伴走しています。新しいサービスの形を一度誰かと整理してみたいと感じたら、気軽にご相談ください。

よくある質問

税理士が顧問料以外の収益をつくるには、新しいお客様を探す必要がありますか?
新しいお客様を探す前に、今の顧問先から始めるほうが立ち上げやすいです。すでに信頼関係があり、会社の数字や悩みも分かっているため、サービスの中身を一緒に整えてもらいやすいからです。
経営の相談に乗ることは、税理士の業務の範囲に入りますか?
税務以外の経営の相談は、税理士の独占業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)とは別のものです。そのため顧問料と分けたサービスとして提供しやすい一方、税理士法人の場合は法人として行える業務の範囲を、税理士会などに確認しておくと安心です。
4つの柱のうち、最初に始めやすいのはどれですか?
毎月試算表を作っている事務所なら、経営計画と月次の経営会議が始めやすい柱です。ただし最終的には、顧問先から実際に多く受けている相談と、繁忙期にも回せるかで選ぶのが確実です。
顧問料以外のサービスの料金は、顧問料に上乗せすればよいですか?
顧問料とは別の契約にし、中身と料金を分けて示すことをおすすめします。上乗せにすると、どこまでが料金の範囲か分かりにくくなり、価値も説明しにくくなるためです。

出典:帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」2025年11月21日/国税庁「税理士制度に関するQ&A 税理士業務とは」/国税庁「税理士制度に関するQ&A 税理士法人」/中小機構 J-Net21「経営改善計画策定支援事業とは」(いずれも2026年11月4日確認)

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